ラスベガス――ラスベガス市警は29日、市内のホテルに投宿していた男性が猛毒物質リシンで重体に陥っていることを明らかにした。使っていた部屋の中で火器や「無政府主義」に関する教本も見付かり、「リシン」の項目にしおりをはさんであったという。捜査に加わっている米連邦捜査局(FBI)は、テロとは無関係との見解を示していた。
リシンはホテルの部屋の中で見付かったが、男性のものなのかは不明。投宿前にあったのかも明らかでない。重体の男性は口を開けない状態。医師は、回復する可能性はあると説明している。
市警によると、男性は2月14日、ホテルから病院へ電話して呼吸困難に陥っていることを訴えた。病院に運ばれた後、友人もしくは親族が所持品をまとめるためホテルの部屋に来て、瓶の中の不審な物質を見付けていた。鑑定でリシンと分かった。
男性の部屋の中に入ったホテル管理者、警官ら7人が病院で診断を受けたが、中毒の症状はみられなかった。
少ない量で致死となるリシンはがん治療にも使われるが、過激派がテロの武器として使う懸念も強い。米国では2004年2月、連邦議会の郵便物集配施設でリシンが発見される事件があった。