それでは、以下の点について私の意見を書きたいと思います。
「三浪からは就職は厳しいか？」
「三浪は大学で浮いてしまうか？」
「浪人したら必ず受かるのか？」
「浪人を重ねることで親にかけてしまう負担について」
「妥協は必要か？」
――三浪からは就職は厳しいか？
二浪までなら、十分に「新卒」の範囲内です。むしろ、現役で三流大学よりも、二浪で一流大学の方が就職には有利なくらいです。
三浪になると、普通の「新卒」扱いから外れる場合が多くなります。しかし、留年に比べれば大したことはありません。いわゆる「人気企業」を目指しているのであれば不利というだけです。実力や人物で判断する会社もたくさんあります。
「留年」は、あまり印象が良くありません。
多浪で一番問題なのは、年齢です。やはり、多くの新入社員の中で一人だけ年齢がかけ離れている、というのは良くないのでしょう。そういうことで他の人達と区別されることは覚悟しておかなければなりません。
ただ、完璧な人生コースなどありません。普通の人は、何かしらの不利な点を持っています。不利を背負ったからといって落ち込むのではなく、不利によるメリットとデメリットを比べながら、最良の選択をしていくしかありません。
いずれにしても、全てを投げ出すことだけは避けて欲しいものです。
――三浪は大学で浮いてしまうか？
私の場合ですが、最初はかなり気になりました。特に、自己紹介するときなどは、随分と気まずい思いをしたものです。
しかし、大学というのは雑多な人間が集まるところです。三浪どころか四浪、五浪もいましたし、会社勤めの四十代もいました。
特に早稲田大学の場合、本当にいろんな人がいます。金持ち、貧乏、ホスト、貧乏ホスト（高そうな服だが、いつも同じ服だった）、懐かしヘビメタファッション男、ニューハーフ、角帽＆学生帽＆下駄の三点セット男、アメフト風、等々。
このような人を眺めるうちに、私自身の劣等感は薄れていきました。
大学時代以降は、人物そのものが魅力的かどうかが重要です。こんな例があります。
私の知り合いで都立大生の、非常に頭の良い人物がいました。しかし私は、ずいぶん後になって彼は実は二浪していることを知りました。私はかなり驚きました。
なぜなら、彼はただ頭が良いだけでなく、あらゆる意味で優秀だったからです。リーダシップをとるたけの風格があり、経済感覚に優れており、頭の回転が速く、ユーモアと学識もある、そんな完璧な人間でした。もちろん、彼は、あらゆる場所で高い評価を受けていました。
そんな人物でも、大学に入るのに二年間も浪人している事実に驚いたのです。
逆に、現役で一流大学に行っていても、尊敬できない人もいます。大学のブランドのせいで最初の印象は良くても、やがて人が離れていくような、そんな人です。
ですから、結局は、人間そのものが重要なのです。大学で真面目にやっていく自信があるなら、必要以上に多浪を怖がる必要はないと思います。
――浪人したら必ず受かるのか？
「無勉」から一年目は、かなり伸びます。しかし、二年目からは、あまり変わりません。二年目から期待できるのは、「伸び」よりも「安定感」です。「三浪」になるとさらに安定します。
もちろん、全く伸びない、ということはありません。伸びることは伸びます。ただ、かなり上を目指しているのであれば、そこには届かない可能性が高いと思います。それよりも、もう少しで手が届きそうだ、という場合に、もう一年の浪人が有効になるでしょう。
人間には、器というものがあります。東大に受かる人は、努力すれば必ず受かります。しかし、受からない人はいつまで経っても受かりません。その器が分かるのが、「三浪目」だと私は考えます。ですから、私の場合は「早稲田大学第二文学部」が私の器だった、ということです（繰り返しますが、この学部は私にとって第二志望でした）。
もっとも、幼少の頃から東大を目指して計画的に勉強した人なら、その器でなくとも受かる可能性はあります。しかし、普通の人は普通に暮らしているだけです。ですから、普通の状態で得られる最高の結果を得られるよう、頑張れば良いと思います。
（あくまでこの場合の「器」とは、大学受験における器を意味します。）
――浪人を重ねることで親にかけてしまう負担について
これは、非常に難しい問題です。なぜなら、「努力」や「夢」なら自分だけの問題ですが、金銭的負担となると、そうではなくなるからです。
もし、親に「東大に行け」という風に育てられたなら、何浪しても文句を言わせない権利はあるでしょう。しかし、そうでないなら、周囲のことを考えなくてはいけません。
とはいえ、それを理由にして、いわば夢から逃げてしまうことも、後の人格形成において悪い影響があります。
ですから、アルバイトをして少しでも自己負担してチャレンジしてみるのも手です。
しかし、結局一番良いのは、その時その時で最高の努力をする、ということです。そうしなかったからこそ、後悔するのです。もしもう一年頑張るなら、悔いが残らないよう、環境が許す限りの努力をすべきです。
――「妥協は必要か？」
これも難しい問題です。前段の繰り返しになりますが、「妥協」の理由が周囲の環境にあるのなら、そうせざるを得ないでしょう。ですから、その環境の中でできることを精一杯やることこそが重要だと思います。
もし、十分に頑張れなかった上で「妥協」するなら、次の段階、つまり大学時代はその過ちを繰り返さないようにすべきです。ですから、受験の不本意な結果を、むしろ心を入れかえる良いきっかけだと考えることもできます。
「高校での失敗を浪人でとりかえす」
「浪人での失敗を大学でとりかえす」
「大学での失敗を会社でとりかえす」
こう考えると、人間とは本来、失敗するものかもしれません。しかしその失敗をとりかえすように努力するかどうかで、人間の価値も決まるものとも言えます。
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以上、私なりの意見です。少しでも参考になれば幸いです。ご質問を寄せて頂き、ありがとうございました。