弘前市中別所にある重症心身障害児者施設の県立さわらび医療療育センターが4月以降、三人にいる常勤医が順次不在となることが分かり、厳しい状況に直面している。県が医師確保に努力しているが、これまでのところ見つかっていない。同センターには24人が入所しており、県は1日、利用者の家族や職員に現状を説明。施設の閉鎖は考えておらず、医師確保に全力を挙げて取り組むという考えを示した。
 同センターには現在、所長の吉村伊保子医師と、弘前大学が配置する整形外科医二人が常勤医として在籍しているが、吉村所長は3月末で定年退職。弘前大学も医師不足から、4月からの常勤医配置はできないとしており、常勤医が不在になる厳しい状況となった。
 同センターは重症心身障害児者施設で、医療法上の病院でもある。このため、医師は所長を含め常勤換算で三人、また管理者は医師であり常勤であることが必要で、常勤医が一人もいなくなると、病院として存続することができなくなる。
 県の医師確保は難航しており、一度は退職を了承された吉村所長が6月末までの勤務延長を決定。県の要請を受け、弘前大学も非常勤での医師配置を検討中だという。
 説明会では「施設の在り方の検討も必要ではないか」という意見も出たが、県は必要性を認めながらも「当面は医師確保に全力を挙げたい」と述べ、吉村所長が退職する6月末までの常勤医確保を優先させる考えを示した。

【写真説明】県が常勤医師を探している県立さわらび医療療育センター