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Kyoto環科研

2005.01.30

産業技研・有機薄膜太陽電池を開発!

世界最高レベルの有機薄膜を開発!

シャープは、薄幕を実用化へ!


 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は1月27日、エネルギー変換効率4%を達成する世界最高レ
ベルの有機薄膜太陽電池を開発したと発表。実用レベルの変換効率20%も可能だとしており、プラスチ
ックを使った太陽電池の実現につながると期待されている。

 有機薄膜太陽電池はプラスチックなどの軽量で柔軟な素材を基板に使えることから、実用化への期待が高いが、有機半導体の薄膜を2層接合した既存の方式では、太陽光を電気に変える変換効率が1%ほどにしかならない弱点があった。

 同研究所分子薄膜研究グループの斉藤和裕主任研究員は、2種類の有機半導体を接合する際、この2種類を混合した薄膜を中間に加えた3層構造にして、電気を生じる分子同士の接触面積を増やし、変換効率の向上に成功した。

<有機薄膜太陽電池の研究開発グループ>
 独立行政法人産業技術総合研究所
 金沢大学
 株式会社日本触媒

「有機材料を用いた太陽電池は、印刷技術等の大面積で簡易かつ安価な製膜方法を適用できる可能性があり、大幅な低コスト化が期待できます。
 本研究では、有機半導体材料を用いた太陽電池を開発するための基礎的な検討を行っています。
 ここでは、有機材料を用いた太陽電池の性能を支配する因子(材料の性質、構造等)を抽出し、太陽電
池に適した有機半導体材料およびセル構造を開発することにより、太陽電池の性能向上の可能性を見極めます。」と説明している。

 一方、太陽光以外の「軟質プラスチック太陽電池」が開発された。
将来は携帯電話を充電するために服を着るようになるかもしれないという。カナダのトロント大学の研究
者が、軟質のプラスチック太陽電池を発明した。これは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する現
在の方法より5倍効率的だという。現在、最も効率の良いプラスチック太陽電池でも効率は6%であるが
、このフィルムは太陽パワーの30%を利用可能な電気エネルギーに変えることができる。

 研究チームのリーダー、テッド・サージェント教授(電子・コンピューター工学)によれば、「柔軟性が高い素材でできた太陽電池で、このプラスチック太陽電池は繊維にも織り込むことが可能であります。合成繊維が既に存在するわけで、それを衣服に織ることで”着る太陽電池”ができるのです」と、語っている。

このコーティングをシャツやセーターなどの衣類に織り込めば、携帯電話や携帯音響製品のような機器に
充電できるという。カナダ太陽エネルギー協会のテリー・ホワイト会長によれば、この種の太陽電池は産
業界を変える可能性があると期待している。

もし、太陽が照らなくなったらどうなってしまうのか?
「目視光線という点では、明らかにパワーはなくなります。しかし、赤外線という点では、完全にパワーがゼロになる訳ではない。太陽のように熱い必要はないけれども、暖かいものはなんでも熱を発している。人間や動物でさえ、熱を発しており、外が暗いときでさえ、実際に赤外線の中にパワーは残っているのです」とサージェント教授は説明している。

 日本でも、2003年6月、独立行政法人 産業技術総合研究所エレクトロニクス研究部門は、可視光
を透過し青色または紫外光により光起電力を発生する半導体デバイスをガラス基板上に試作することに成功した。これは、「透明な太陽電池」の試作に成功したことを意味する。

 可視光を透過し紫外光で発電することを実証した「透明太陽電池」は、理論的に半導体中のキャリアの
プラズマ振動により赤外光反射の機能を付加することが可能であり、赤外光は熱としての作用が強いので
熱線とも呼ばれる。将来的には、このような赤外光(熱線)の透過・反射の制御機能を有するシートを窓ガラスとして設置することにより、太陽光からの熱輻射エネルギーを室温調節に利用することが可能である。透明半導体を利用するとこのように、赤外光(熱線)を室温調節に、可視光を照明に、紫外光を発電にと独立に制御・利用することが可能となる。

 「シャープ」も、紙のように薄く、曲げたり筒状にしたりできる太陽電池を開発した。量産開始を目指す。太陽光をどのくらい電気に変えるかを示す「変換効率」は28.5%。住宅に取りつける多結晶シリコンの太陽電池が14%程度とされるのに比べ、飛躍的に効率を上げた。携帯電話、衣類、自動車などに付け、移動しながら電化製品に電力を供給することが可能になるといい、太陽電池の普及を加速させそうだ。

 シャープは変換効率が高いため、人工衛星などに使われる「単結晶化合物」の太陽電池技術を応用した。この「単結晶」だと通常、厚みは約200μm(μmは1000分の1mm)。だがシャープは、半導体の配線部品や土台を組み込まなくても、いったん取りつけてはがすだけで半導体の働きをする基板技術を開
発、厚みを1〜3μmに抑えた。重さも100分の1。「化合物フレキシブル太陽電池」と名づけている。 薄型の太陽電池は、国内外のメーカーが開発中。主流のシリコンのほか、花などの色素を使う色素増感型があるが、変換効率の低さが課題だった。



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