保護者や卒業生の拍手に包まれながら会場を後にする、松本病院附属看護学校の最後の卒業生
松本市芳川村井町の国立病院機構松本病院付属看護学校(3年課程)は1日、最後の卒業式と閉校式を市内で開き、35年の歴史に幕を下ろした。最後の卒業生39人が、看護師不足が深刻化する医療の現場に向けて巣立った。
閉校は、国立病院・療養所の独立行政法人化に伴い、国が2004年、経営の効率化などを理由に決めた。
同看護学校は本年度、松本病院が昨年9月にお産を休止したため、お産の実習などを他の病院に依頼した。あいさつした米山威久校長(松本病院長)は「医師不足で十分な教育ができず、申し訳なく思っている。看護師の都会志向などで看護師不足は深刻だが、自分の将来を見据え研さんを積んでほしい」と、卒業生を励ました。
卒業生代表の岸田智之さん(26)は「学校の伝統を引き継ぐ後輩がいないのは残念だが、私たちが社会に貢献することで、伝統に報いることができると思う」とあいさつした。
閉校式に出席した同校1期生、柴田憲子さん(53)=塩尻協立病院総看護師長=は「看護師の養成が必要なのになぜ閉校するの、という気持ちもあるが、4年制大学で資格を取るのが主流になっている。時代の流れですね」と話していた。卒業生は、県内外の病院への就職や、専門学校への進学が決まっている。