(1) 指の関節や腱鞘の痛みで困っている人はいないだろうか? テーピング巻いて登る前に是非これを読んでみてほしい。
前腕の指屈筋腱は1本指2本指のポケットで伸ばしてしまうことが多いが 指の関節や腱鞘というのはカチもちで痛めてしまうことが多い。カチもちで指を痛めるということがどういうことかというとおそらく原因の殆どが指の巻き込みすぎだ。カチもちで深く指を握りこみすぎているのだ。(だって握り込まないとのぼれないじゃないの)そらそうなのだが、まあ聞いとくれ。
筋肉は縮んで力を発揮する表の筋肉と表の筋肉が縮むのに合わせて伸びていって(多分)体が壊れるのを防いでいる裏の筋肉から出来ている。前腕で言うと登る時のように指を内側に、握りこんだ時には前腕の下側の筋肉が縮んでいて反対に腕の背中(裏)側の筋肉がのびているわけだ。
カチもちのように深く握りこまなければならないホールディングではこの背中側の筋肉がど
れだけ伸びるかがどれだけ深くカチを握り込めるかを決定する。それ以上深く握り込もうとするとつっぱって力が込められなくなるポイントがあるわけだ。
ゆえに裏側の筋肉のどこかが固くなってしまって伸びが悪くなっているといつもより握りこめなくなる。いつもと同じ角度まで握り込もうとするとつっぱりをとおりこして痛みを感じることになる。それでも痛みを抑えて握りこむと故障につながってしまうわけだ。(テーピングは痛みを抑える効果はあるが裏側の筋肉をしばり余計伸びなくさせるので余程状況を考えてつかうべきだ。)
カチもちするなら前腕の裏側の筋肉の伸び具合にはいつも注意を払っていなければならない。そしてすでに故障が起こってしまった場合もこの固くなっている部分を見つけて元の柔らかい状態にもどしてやることで軽い痛みなら一発解消もあるし重症の場合でも早い回復に繋がると私は信じているのである。(ホントかな?)これがほんとなのである。
(2)具体的には固くなって指を巻き込みにくくする筋肉は次の三つである。このうちの一つはストレッチだけでもほぐせるが あとの二つはマッサージまたはマッサージとストレッチの併用をおすすめしたい。
まず前腕の伸筋群、これは前腕部の背中側一帯の筋肉(写真1)、次が背側骨間筋 (写真2)これは手の甲にあって指のスジとスジの間で指の股を開く動きをしている。

そして虫様筋(写真3)、これは手の平側の筋肉だが構造が特殊で筋肉の一方の端が指の背中側についているため固くなるとやはり裏側の筋肉の伸びを妨げることになる。(この虫様筋は使わなくてもカチもちすることもでき、その場合よりにぎりこんだカチもちができることになるが話がややこしくなるのでここではおいておく)
まず 前腕伸筋、これはストレッチでも伸ばせる。が固くなるのは神経の枝分かれするポイント(ツボ)なのでそのポイントはマッサージするほうがより効率的である。固くなるのは手首から10センチほどのところと肘の手前5センチほどのところ(前腕伸筋群の付着部でありテニス肘がおこるところ)である(写真4)。
次の背側骨間筋、これはストレッチが難しく盲点のひとつである。手の甲の指のスジとスジの間を細い棒などでマッサージする。(写真5)筋肉の付着部(指の股のところと股から5センチほどのところ)がこりやすいストレッチは指と指を重ねて巻き込むようにする(このとき親指よりの指が上にくるよう
に重ねる)(写真6)。

そして虫様筋、この筋肉の硬直化も盲点で 背側骨間筋同様に存在自体に気付いているひとは少ないのではないかと思われる。 硬直化は指に故障をおこさせる大きな原因の一つである。とくに中指の第二関節や第三関節を痛めている人は人差し指の虫様筋が硬直化してしまっている事が多い。人差し指の虫様筋が硬直化することによって人差し指が巻き込みにくくなってしまい、体が勝手に人差し指を使うのを止めてしまう。その結果中指を中心に力をいれるようになり中指を薬指の方に近づける中指と薬指の間の背側骨関筋がオーバーワークで硬直化しそれが中指を巻き込みにくくし故障につながるというのがもっとも多いパターンである。
虫様筋のストレッチはいい方法が見つからないので私はひたすらマッサージでほぐしている(写真7)。見つけにくいが指先の力をぬいて圧痛のある筋肉を頑張ってさがす。人差し指の虫様筋は特に是非とも柔らかい状態を保ちたい筋肉だ。母指内転筋という親指を手の平側に曲げる筋肉と間違いやすいがこれがかたくなっても虫様筋の動きをさまたげるので痛ければとにかくほぐすとよい。
前腕の裏側の筋肉がかたくなるとカチがもちづらくなる。それでも強引に(巻き込んで)もとうとすると故障につながる。登る前に指を一本ずつカチもちしてみて痛みがないことを確認することがおそらく最善の故障予防策だ(写真8)。

もし痛みがあるようならばこれらの筋肉のどれかが固くなってしまっている可能性が高いのでほぐして痛みがなくなってから登るようにする(ように私はしている)。
(3)ではなぜ裏側の筋肉は硬直化するのか? 前腕の背中側の筋肉の硬直化が指の故障を起こさせるということを書いてきた。ではそもそもこれらの硬直化はなぜ起るのであろうか。使いすぎや寒さによってよっておこることが多い。が別の原因でおこることも多いのだ。
というかそちらの原因で起こってしまっている人の方が多いのではないかと思うのである。それは前腕の神経の圧迫である。(ハナシがヤヤこしくなってきた)前腕の背中側の筋肉は首から出発したとう骨神経という神経によって動いている。この神経がどこかで圧迫をうけると神経は電圧がさがった状態になる。そうすると背中側の筋肉は固くなる。靭帯も腱鞘も固くなる。いくらストレッチしてもマッサージしても翌朝にはまた固くなってしまうのである。(それはマズイ)
が今書いたマッサージとストレッチ法は神経障害があっても非常に有効だと思うので是非試してみてください。というか神経障害のある人には是非とも試してほしい。神経障害があるかどうかの見極めと首のマッサージのハナシはまたちかいうちに書いてみたいと思います。
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