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朝鮮人は戦争加害者なのか、被害者なのか(下)

 ほとんどの人々から忘れられた存在である日本人妻について、敬和学園大学の加納実紀代教授は、決して過去の問題では終わらないと話している。1930年代後半、植民地・朝鮮での内鮮一体政策により朝鮮人と日本人の「内鮮結婚」が強く推奨された。38年から43年までに朝鮮人と日本人の夫婦は5458組誕生した。うち、朝鮮人夫と日本人妻という組み合わせの夫婦は3964組で73%だった。ほとんどの日本人妻は韓国に残ったが、75年の調査によると、こうした956人の経済状態のうち、「極貧」と「下」は73%を占めたという。

 加納教授は「日本人妻たちの悲劇の背景にあったのは、韓日両国の家父長制という暗黙の了解だった」と主張する。「日本社会では民族的に弱者だった朝鮮人男性も、家父長制の下ではジェンダー(社会的・文化的な性差)的に強者だ。彼らに強者(日本)の女性をあてがうことで、男性としての自尊心を煽り、対等さを演出するというバランスを取ったのではないだろうか」

 「困惑の領域」に対する考察はまだまだ続く。ソウル大学経済学科の李栄薫(イ・ヨンフン)教授は、韓国の歴史教科書に書かれてある「日本帝国主義は朝鮮の土地の40%を奪った」という説に批判的だ。東京大学の高橋哲哉教授は、「靖国神社からA級戦犯を分祀(ぶんし)すべき」という論に対し、「危険なシナリオ」だと懸念する。「A級戦犯を分祀した後も、1928年以降の侵略とは関係のない、それ以前の侵略戦争の戦死者たちはそのまま残ることになるが、“A級戦犯”が抜けた後、靖国神社が国営化され天皇の参拝も可能になれば、日本の軍事行動を裏付ける装置になるかもしれない」というのだ。

 この本の決定的な弱点は、韓日の執筆者18人の見解や主張、そしてその主張の論理が一致していないところにある。多数の人々が浸ってきたナショナリズムの視線から脱するという最低限の共通点を持つだけとも解釈できる。もしそうなら、この本自体が述べている通り、誰も結論や正解を提示できない「百家争鳴」を繰り広げる中で、その共通点を明らかにする一つの「試み」にその意義を見い出すしかないだろう。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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