ピクシー断言「オシム日本は進化する」
- 会長室でインタビューに答えるストイコビッチ氏(撮影・蔦林史峰)
【ベオグラード(セルビア)2日=山下健二郎】「日本代表は発展へ向けて動きだす」。レッドスター・ベオグラードのドラガン・ストイコビッチ会長(41)が、オシムジャパンの成功を断言した。90年W杯イタリア大会でオシム監督率いる旧ユーゴスラビア代表のエースとして準々決勝に進出し、94年から7年間は名古屋で活躍。オシム氏と日本のサッカーを熟知する同会長は、オシム氏の指導力を高く評価した上で、日本代表の進化に太鼓判を押した。
現役時代ピクシー(妖精)の愛称で親しまれたストイコビッチ会長は、オシム氏の日本代表監督就任内定に「日本の進化」を予感していた。
ストイコビッチ氏(以下ピクシー) オシム氏の監督就任で、日本は真の発展へ向けて動きだす。
旧ユーゴ代表のエースとしてオシム氏のサッカーを体現してきた。一方で日本人選手の特徴も理解している。その両方を知る男の言葉だけに説得力がある。発展への基盤になるのは、オシム氏の代名詞「走るサッカー」だと考えている。
ピクシー「練習はハードだった。2タッチ以上ボールに触ることを許さず、技術よりも体力面で高いレベルを要求された。練習中によく吐いたよ。90年W杯前の合宿で私は『五輪のマラソンに出場するのか』と食ってかかった。彼は『いつかサッカーにはシンプルなプレーが必要だと分かるだろう』と笑っていたよ」。
ただ走ればいいわけではない。「走るサッカー」の根底にはオシム流のサッカー哲学があるという。
ピクシー「走らなければならないときに走る。ボールを奪われたら、バランスを取り戻すために走る。『走る』には、責任のあるプレーをしろというメッセージが込められていたんだ」。
日本にはMF中村をはじめ高い技術レベルを誇る選手も増えてきた。そんな豊かな才能が埋もれることを危惧(きぐ)する声もある。しかし、ストイコビッチ会長は、むしろ彼らは進化すると考えている。自らの体験では、肉体強化が強い精神力と心の余裕を生み、技術や創造力をさらに高めたという。一方で攻撃は自由だったという。
ピクシー「監督は『常に走ることだけは忘れるな』としながらも、戦い方については『自分で考えろ。自由にやれ』。攻撃には自由があった。自由にやって結果が出なければやるなというスタンス。選手自身の判断が求められた」。
W杯ドイツ大会の日本代表を見たストイコビッチ会長は「選手の質は高いが、失敗することへの恐怖が精神面を不安定にさせ、集中力を欠いた」と話す。体力・責任感・自由心を一体化させるオシム氏の指導法は、そんな日本代表の長年の課題も解決できる。オシム氏の言葉には選手の心を変える力があるという。
ピクシー「90年W杯決勝トーナメント1回戦のスペイン戦の試合前、彼は突然『この試合を終えたら家に帰ろう』と選手に言った。その一言でみんながリラックスできた。優勝候補のスペインにも勝った。彼は選手が常に最大限の力を発揮できるように準備できる監督なんです」。
[2006年7月3日9時47分 紙面から]
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