毒物カレー事件について、一度、私のブログで読者の意見を訊いたことがある。
テレビやニュースの報道に惑わされず、裁判員になったつもりで意見を訊きたかったからだ。
前提情報として、私の本件に対する疑問をなげかけた。
1 林真須美被告人がそれまで保険金殺人を犯していたという前提であれば、計画的な財産犯だ。
かなりの蓄財もあって、贅沢な暮らしをしている。
ここで無差別殺人をやってしまっても、金銭的な利益はゼロである代わりに、自らのそれまでの犯行まで露見してしまう危険性が高い。
いくら、腹が立ったとはいえ、このようなリスクだけの犯行を犯すものだろうか?
なお、早々にトラックバックで、衝動殺人は全国いくらでもある」というご意見をいただいた。
しかし、衝動殺人犯と、計画殺人犯は、異なった性格を持っているのが一般的だ。
もっと突っ込んで言えば、窃盗を犯す人間は窃盗ばかりを、衝動的な暴力犯は衝動的な暴力ばかりを、性犯罪を犯す犯人は性犯罪ばかりを・・・・・・というように、ある犯罪を犯す人間が同種の犯罪を犯すことの方が圧倒的に多いのが事実だ。
この点からすれば、計画殺人を繰り返してきた犯人が、突然、衝動殺人を犯すというのは、極めて理解しがたい。
2 毒物があまりにも簡単に見つかっている。
それまで計画殺人をしていたとすれば、毒物(つまり凶器)は、慎重にも慎重を重ねて保管するのが通常だ。
事件があってから、「見つけてください」といわんばかりに毒物が見つかったのは、極めて不自然だ。
3 検察は、目撃証言などの状況証拠から被告人を絞っていったが、目撃証言ほどあてにならないものはない。
こんなものは、取調べの段階でいくらでも誘導できるし、誘導された目撃者は、あたかも、誘導どおりに見たかのように思い込んでしまうものだ。
後刻、法廷に出ても、自分の記憶として証言してしまうだろう。
たったこれだけで、合理的な疑いの余地がないほど有罪の心証を持てるものだろうか?
このブログをご覧いただいた方は、是非、裁判員になったつもりで考えてみてください。
by ぐうたら弁護士
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