自動車メーカー各社の発表では、一月の国内自動車生産は主要八社中七社で前年同月より増え、一月として過去最高だった社もあった。
国内と海外を合計した世界生産では八社すべてで増加した。景気減速懸念と連動した北米の販売伸び悩みをロシア、中国などの新興国や中近東向けの輸出で補ったという。日本の自動車産業は引き続き堅調のようだ。
国産第一号の車は岡山県人が造った。岡山市の発明家・山羽虎夫の功績で一九〇四(明治三十七)年のこと。県広報協会発刊の「おかやま365日」によれば大阪の博覧会で外国製の車が走るのを見た知人に依頼され、一念発起した。
車に関する知識はまったくなかった。だが、輸入車を見学するなど熱心に研究し、蒸気エンジン付きの車を見事に完成させた。この本で初めて写真を見たが、原始的なトラックといった風情で乗っている人々はやや緊張気味に見える。
百余年がたち、自動車は日本を代表する産業になった。不振がいわれてきた国内販売も最近の記事では今年に入り好調で、本年度通算の新車販売台数は五年ぶりに前年度を上回る可能性が出てきた。各社の巻き返し努力が奏効したのだろう。
岡山県内にも有力な自動車工場がある。買い手が夢を描ける魅力的な車づくりへ業界挙げて一層励んでほしい。環境への優しさなど日本の技術力は世界で最先端だ。