在沖縄米海兵隊員が女子中学生に暴行したとして逮捕された事件で、那覇地検は29日夜、沖縄署に強姦(ごうかん)容疑で逮捕されたキャンプ・コートニー通信中隊所属のタイロン・ハドナット2曹(38)=沖縄県北中城村(きたなかぐすくそん)=を不起訴とし、釈放した。被害者が同日告訴を取り下げたため。強姦罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪で、告訴を取り下げた被害者は「事件にかかわりたくない。そっとしておいてほしい」と話しているという。ハドナット2曹は29日午後8時42分に釈放され、米軍に引き渡された。
ハドナット2曹は2月10日夜、沖縄県北谷(ちゃたん)町内の路上に止めた自分の乗用車内で、中学3年の女子生徒に性的暴行をしたとして同11日に逮捕された。
調べに対し、ハドナット2曹は供述にぶれがあったものの「車内でキスしたり、体を触ったが、レイプはしていない」と基本的に容疑を否認していた。
29日夜に会見した那覇地検の山舗(やましき)弥一郎検事正は「告訴が取り下げられた以上、不起訴にするほかはない」とコメント。親告罪以外の罪での起訴についても「被害者の気持ちを考えると、他の罪で起訴するのは適当ではないと判断した」と述べた。
この事件を受け、沖縄県内の全41市町村議会と県議会が抗議の決議をし、米軍が沖縄や岩国基地(山口県)の米兵らを外出禁止にするなど波紋を広げていた。【三森輝久】
毎日新聞 2008年2月29日 21時54分 (最終更新時間 3月1日 0時11分)