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<中スポ コンフィデンシャル> オシムを信じていれば必ず栄光はついてくる

2007年9月12日 紙面から

 「大丈夫。心配することはない。イビチャを信じていればいい」。現在オーストリア・ブンデスリーガのLASKリンツで主将を務める元オーストリア代表FWバスティッチ(38)は自信たっぷりに言い切った。イビチャ・オシム監督(66)のもと8年間シュトルム・グラーツでプレーし、2002年に名古屋グランパスへ移籍。オシムを最もよく知る男は、日本代表の明るい未来を予言した。  (聞き手・原田公樹)

 正直、驚いている。観客席からオーストリア戦を見たけど、僕が日本にいたころの日本代表より、はるかに強い。性能のいいトヨタ車のようにスピードがあり、正確で安全に動いていた(笑)。

 3、4回あった決定的チャンスを決められなかったのは残念だったが、日本選手の動きが、オーストリアのあちらこちらで問題を引き起こしていたこと。だからオーストリアはゴール前を固めて、日本の攻撃に耐えるしかなかった。

 前半の終わりごろ、3万人の観客が、自国の代表にピーピーと口笛を鳴らし、ブーイングを浴びせていた。僕も負けた試合で、こんな経験をしたことはあるけど、0−0で、しかも前半の終了前にあんなにブーイングが起こるなんて…。日本がそれだけすばらしい戦いをしたということ。

 僕は8年間、シュトルム・グラーツでイビチャの指揮のもと、プレーしたけど、オーストリア−日本戦を見て、すぐに気付いた。似てるってね。コンビネーションを大切にして、パスをつないで攻撃を仕掛ける、あの魅力的なサッカーだと。

 日本では「パスはつながるけど、ゴールが決まらない」とみんな心配しているようだが、大丈夫。心配することはない。

 アジアカップでもゴールが決まらず苦戦した試合がありましたっけ? 大丈夫。オシムのレッスンはまだ1時間目です。2時間目、3時間目とだんだん難しくなり、レッスンが進むにつれて、自分たちでも信じられないくらい強くなっていく。

 なぜならグラーツという小さなクラブが、欧州チャンピオンズリーグに3度も出場して、2000−01年にはベスト16にまで進んだんだから。93年からイビチャはグラーツを率いたから、8年目のシーズン。あのころの僕たちは本当に持てる力を100パーセント出し切って、本当に強かった。

 だからイビチャを信じていればいい。彼はサッカーに生きる人間。本当に24時間、サッカーのことだけを考え、試合を見て、プレーをする。よくあんな生き方ができるなぁ、と思う。僕も長年サッカーをしていて、将来はコーチになろうと思っているけど、とてもあんな生き方はできない

 イビチャは完全なサッカー中毒です(笑)。彼と一緒に歩いてください。その先には栄光があるはずです。

 ▼イビチャ・バスティッチ 1968年9月29日、クロアチア・スプリト生まれの38歳。通称イボォ。91年に内戦を避けてオーストリアへ移住。96年に同国の国籍を取得し、代表入り。98年W杯フランス大会ではチリ戦で劇的な同点ゴールを決めた。Aマッチ46戦12得点。ドゥイスブルグ(ドイツ)を経て、95年にシュトルム・グラーツに移籍。95、98、99年のオーストリア年間最優秀選手。96、00年には同リーグ得点王。02年に名古屋に移籍しリーグ戦27戦13得点。

 

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