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【社会】

「食中毒で処分」発表前日にブログに情報 一宮保健所の調査担当の職員

2008年2月29日 朝刊

 愛知県一宮市の弁当製造・販売会社の弁当が原因となった食中毒に絡み、県一宮保健所(一宮市)で調査に当たった職員が、会社に対する処分内容などを県が発表する前日にインターネットの会員制サイト「ミクシィ」のブログに書き込んでいたことが28日、分かった。県は地方公務員法の守秘義務違反に当たる可能性もあるとみて調べている。

 県健康福祉部によると、一宮市千秋町の弁当製造・販売会社が18、19両日に製造した弁当を食べた111人が下痢などの症状を訴え、調理した4人と患者からノロウイルスが検出された。一宮保健所は食中毒と断定、22日に営業禁止処分にしたと発表した。

 ところが、保健所の食品衛生担当職員が前日の21日午後11時ごろ、自宅のパソコンからミクシィのブログに「一宮市の弁当屋が食中毒(ノロウイルスによる)を起こし、明日、営業禁止になる」「(弁当の配達先で)症状が出ているかどうかを調べている」などと書き込んでいた。

 発表後の23日にも「新聞に載っていた『約3300食を作り、配達していた』などの数字を調べたのはこの私」「大きな事件だと実感している」などと書き込んだ。会社名など個人情報は含まれていない。ブログは、職員の学生時代の仲間ら33人が閲覧可能な設定になっていた。

 25日に県生活衛生課に匿名の情報提供があり、発覚した。現在は、職員が書いた部分はすべて削除されている。職員は県の調べに「秘密を漏らしたという意識はなく、仲間内なので安易な気持ちで、日ごろのことを話すつもりで書いてしまった。反省している」と話しているという。

 職員は数年前から同じブログに書き込んでおり、県はほかにも業務内容が書かれていないかどうか、職員から任意で提出を受けたブログのコピーを調べている。

 地方公務員法では「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と規定。違反者は1年以下の懲役または3万円以下の罰金に処せられる。

 県健康福祉部健康福祉総務課や県人事課は「業者の名前は書いてなかったとはいえ、うかつな行為だった。一宮市内の全弁当店が疑われた危険性もあり、不適切」と不手際を認め「地公法の『秘密』に当たるかどうかを精査し、事実が確認できれば処分も検討する」と話している。

 【ミクシィ】 2004年から始まった日本初のSNS(ソーシャル・ネットワーキングサービス)。会員数は1月末時点で1300万人以上。既に入会している登録利用者から招待を受けて入会する。自分の日記を公開したり、共通の興味を持った人が集まる「コミュニティー」に参加したりして、会員同士が情報交換する。

 

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