| |
| |
救急搬送格差/連携強化で安心環境整備を(2月28日付)
急病などで救急車に収容された患者を救急隊員は一刻も早く医療機関に搬送したいのだが、なかなか受け入れ先が決まらず立ち往生−。そんな危機的な救急医療がいわき市など地域により常態化している実情が県の調査から明らかになった。
救急車が医療機関から受け入れを断られる主な背景に、二次医療を担う救急病院での勤務医不足がある。
勤務医不足解消には息の長い取り組みが必要で、すぐには増えない。だからといって、市民の命に直結する救急医療の滞りをこのまま放置していいはずがない。早急な改善策が求められる。現有の医療従事者や施設を効果的に生かし、救急医療体制の整備を図るのも現実的だ。行政や医療、消防などの関係機関がさらに連携を深め、市民が安心できるような環境を整えるべきだ。
救急車は本来、すぐに医療機関に受け入れられなければならない。ところが、県が各消防本部を対象にした一昨年の救急搬送実態調査では、最初の照会で医療機関に受け入れられたのは搬送全体の84.5%。15.5%に当たる7241件が最低一度は受け入れを断られていた。
10回以上は78件あったが、うち76件までがいわき市消防本部管内だった。いわき市では昨年も10回以上が96件と増え、最多は26回もの照会。現場で2時間以上滞在したことも2人に及び、“綱渡り”のような現状にある。
一昨年の県内搬送で、受け入れられなかった理由は多い順に「処置困難」「専門外」「手術・患者対応中」「医師不在」など。多くは勤務医不足に結びつく。無理して受け入れたことによるトラブルを避けたい、との指摘もある。
いわき市の場合、17救急病院が輪番制で二次救急医療を担うが、勤務医不足が著しく、ほとんどの病院で夜間は一人当直医だという。厚生労働省によると、2006年末の勤務医は323人で、2年前より21人減った。
同市の搬送数は07年で1万1322人と前年より209人少なかった。けがの程度では中等症が全体の44.8%を占めていることからも、二次医療機関での受け入れ渋りが増えている現状が分かる。
一方で、入院を必要としない軽症者の搬送も39.7%に当たる4493人いた。軽症で救急車を呼べば二次、三次医療機関に負担をかけることになる。救急車の適正利用を心掛けることも大事だ。
須賀川市の公立岩瀬病院は3月3日から、医師不足により夜間の一般救急外来の一部を休診することにした。福島市夜間急病診療所では年々、県北や宮城県南部からの利用者が増えている。患者も医師側もそれぞれの窮状を理解しながら現状に臨むことが求められる。
|
|
| |
|
|
|
|

|
(c)SANRIOCO.,LTD.
APPROVAL NO. S511902
|
|
ご購読申し込み
|
|
|