三島市で2002年、通りすがりの女子短大生=当時(19)=を襲い、火を付け殺害したとして、殺人、逮捕監禁などの罪に問われた元建設作業員の被告(35)の上告審判決公判が29日、最高裁第二小法廷であり、古田佑紀裁判長は死刑を言い渡した二審東京高裁判決を支持、被告の上告を棄却した。被告の死刑が確定する。
最高裁は4人連続射殺事件の上告審判決(1983年)で、死刑適用の基準の1つに死亡被害者の数を挙げた。それ以降、被害者1人の事件では死刑回避の傾向が強まり、再犯の場合や身代金目的の殺人を除いては死刑適用の例は少ない。
今回の裁判でも、昨年12月の弁論で弁護側が「死刑適用は過去の最高裁の基準を逸脱している」と主張し、死亡者1人で殺人前科のない今回のケースで死刑が言い渡されるかどうかが最大の争点となっていた。検察側は「冷酷、残虐極まりなく、同種事件と比べても悪質で死刑は免れない」と主張していた。
判決によると、被告は02年1月22日深夜、三島市の国道136号で、自転車で帰宅途中の短大生を車に押し込めて連れ回すなどし、翌23日午前2時ごろ、同市川原ケ谷の山中で手足を縛って灯油をかけ、ライターで火を付けて焼死させた。