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【社会】

前親方、けいこ参加指示 死亡当日に「まわし着けろ」 きょう起訴

2008年2月29日 08時33分

 大相撲時津風部屋の傷害致死事件で、斉藤俊(たかし)さん=当時(17)、しこ名・時太山(ときたいざん)=が死亡した昨年6月26日、相撲を続ける意思をなくしていた斉藤さんに、前時津風親方の山本順一容疑者(58)が「まわしを着けろ」と命じ、強引にけいこに参加させていたことが分かった。死亡直前の約30分の「ぶつかりげいこ」について、山本容疑者は「通常のけいこ」と主張しているが、愛知県警特捜本部は本人の意に反したけいこが、制裁目的だったことの裏付けになるとみている。

 名古屋地検は29日、山本容疑者と、兄弟子の伊塚雄一郎(25)、藤居正憲(22)、木村正和(24)の計4容疑者を傷害致死罪で起訴する。県警は、ほかに暴行に加わった現役や元力士の3人も同容疑で書類送検する。

 調べでは、山本容疑者は死亡前日の25日の夕食の席で、斉藤さんをビール瓶で殴り、兄弟子たちに「教えてやれ」と指示。殴るけるの暴行を加えさせ、てっぽう柱に縛り付けさせた。

 この際、山本容疑者は相撲を続けるかあいまいな態度をとる斉藤さんに、「もう出てこないでいい」「(実家の新潟に)明日帰す」と言い渡した。さらに暴行が終わった午後11時ごろ、自室に戻る際に「やる気があるなら部屋に来い」と言い残したが、斉藤さんが山本容疑者の部屋に行くことはなかった。周囲の弟子は「やめるのだろう」と認識したという。

 しかし、26日朝になると、藤居容疑者に「起こしてこい」と指示。斉藤さんがけいこ場に出てこないことから山本容疑者が自ら起こしに行き、「まわしを着けて出てこい」と、強い口調でけいこに加わるよう命じた。やめると思われた斉藤さんがまわしを着けて出てきたことで、藤居容疑者は「けいこではなく制裁のかわいがりが始まると思った」と供述している。

 これまでの調べで、親方が弟子をビール瓶で殴ったり、てっぽう柱に縛る行為は同部屋で例がなく、4人とも25日の暴行は認めている。

 しかし、26日のぶつかりげいこについては、藤居容疑者を除く3人は制裁目的を否認している。

(中日新聞)

 

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