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中国製ギョーザ中毒事件で、捜査を担当する中国公安省刑事偵査局の余新民副局長が28日、北京で記者会見し、独自の実験結果などに基づき、問題の殺虫剤メタミドホスが「中国内で混入された可能性は極めて低い」と強調、中国側に責任はないとの結論を示した。事実上の捜査終了宣言に日本側は、戸惑いと不快感を表明。日中警察当局間の対立点も浮き彫りとなった。自国のメンツを保つ強硬姿勢は、改善しつつあった日中関係にも悪影響を与えそうだ。
一方的な幕引き宣言となった。事件に絡み、中国公安省幹部が記者会見するのは初めて。余副局長は、事件は残留農薬が原因でなく「人為的な個別事件」と断定、メタミドホスが「中国内で混入された可能性は極めて小さい」とし、中国側での混入について、あらためて否定的な見解を示した。一方で、現時点で容疑者は浮かんでいないことを明らかにした。
さらに、被害者である日本に言い掛かりをつけた。余副局長は、日本の警察当局に証拠品や鑑定結果の提出、流通など日本側の現場への立ち会いなどを申し入れたが断られたと“逆ギレ”。「深い遺憾」と表明した。
事件では日本の警察当局は、殺虫剤は中国側で混入された可能性が高いと判断。さらに、中国公安当局との協力が捜査進展の鍵を握ると期待していたが、解明は袋小路に入る可能性が出てきた。
余副局長は「天洋食品」工場の従業員ら55人を聴取したこれまでの捜査過程で「疑わしい人物は見つかっていない」と述べ、原材料や生産過程でも異常はなかったとした。
封印されたギョーザの袋の内部からメタミドホスが検出されたことなどを根拠に、日本側が日本国内の混入の可能性は低いとしていることについても、中国側は独自の実験を行い「封印されたまでも、袋内への混入がありえる結果を得た」と反論。また、日本側が成分分析から、メタミドホスが「国外製造」とみていることにも反発を示した。
この結末は外交問題に発展しそうだ。4月にも予定されている胡錦濤国家主席の訪日に暗雲が垂れ込めてきた。日本側は「事件が解決しなければ、主席歓迎の雰囲気にはならないだろう」(北京の外交筋)とみて、日中両国が緊密な捜査協力を展開、事件が早期解決することに期待感を示していた。だが、中国当局が日本側の対応を批判。対立ムードの様相を呈してきた。
強硬姿勢の背景には、「食の安全」をめぐり日本以外の国からも多くの批判の声が上がる中、8月の北京五輪を控えて妥協的な姿勢を示すことは得策でないとの判断がありそうだ。ただ、原因究明が進まない中で、自らの責任はそっちのけにして、被害者が出た国の姿勢を批判する対応は、日本側の理解を得るのは困難といえる。
(2008年2月29日06時03分 スポーツ報知)
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