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社説

産科救急問題 患者置き去りでは困る(2月29日)

 ここまで話がこじれたのはなぜか、納得のできる説明を双方に求めたい。

 産婦人科の救急医療体制をめぐり、札幌市産婦人科医会と札幌市の主張が平行線をたどり、出口が見えない状況だ。

 重症患者の二次救急を事実上委託された医会が昨年六月、「負担が重すぎる」として市に対応を正式に求め、やりとりを続けてきた。

 年度末が近づいても抜本策が決まらず、医会はこのままだと二次救急から九月末で撤退する、と通告した。

 もし撤退となれば、札幌市内・近郊の妊産婦に影響が及ぶ。最悪の事態を避ける努力が互いに必要だ。

 いま、産婦人科の二次救急は医会所属の医療機関のうち九病院が輪番で担当している。これらの病院は軽症患者対象の一次救急も担っている。

 産科医不足を背景に、二次救急を引き受ける医療機関は現体制になった四年前よりも三カ所減った。当番はすぐに回って来る。現場からは労働環境の改善を求める声が上がっていた。

 医会は、市の夜間急病センターに産婦人科医を置き、早産や子宮外妊娠などの重症患者のみを二次救急に送る負担軽減策を市に要請してきた。市の試算では、年間七千万円かかる。

 市は新年度、二次救急への助成を増やす。救急要請を受けた時点で重症度を判断して適切な病院に振り分ける要員を確保する。だが、産婦人科医のセンター配置は財政事情から見送った。

 勤務医の中でも、二十四時間の対応が求められる産婦人科医の労働実態は特に厳しい。助成が増えても、負担軽減には直接結びつかないだろう。

 だからといって、医会が二次救急からの撤退を持ち出すのはどうか。

 双方とも、二次の救急体制を維持しようとの思いは同じはずだ。

 医療費抑制をはじめとする国の医療行政のひずみが今回の問題の根底にある、との共通認識もあるだろう。

 医会の提案を選択肢の一つに、救急医療全体を視野に入れて話し合い、一致点を見いだしてほしい。

 安心できる医療を求める住民の立場になれば、行政が予算を重点配分する事業はおのずと見えてくるだろう。

 問題は二次救急を利用する軽症患者が多いことだ。診察を一度も受けずに出産間近で運ばれる妊婦もいる。

 産科は「医療ミスだ」として訴えられる割合が最も高い。妊娠後の経過が分からないと出産に伴う危険が増す。かかりつけ医のいない妊婦の受け入れ拒否は全国的に深刻な問題だ。

 現体制を維持するため、二次救急は誰のためにあるのかを考える必要がある。女性への啓発も大切だ。

 そのためには、札幌に限らず、行政と医師側の連携が欠かせない。

 住民の目に見える形で、具体的な対応策を早急に詰めねばならない。

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