唐津市で急患男性が15医療機関から受け入れを断られるなどして死亡した問題で、同市消防本部は28日、記者会見した。松尾房利警防課長は「現状としては、われわれは受け入れ先を1つずつ探す努力を続けるしかない」と救急現場の限界をにじませ「消防だけで解決できる問題ではない」と指摘した。
県内では、24時間体制で急患に対応する2、3次医療機関が計77カ所ある。今回、救急隊は1月4日未明、同市内の6カ所の2次医療機関すべてに受け入れを要請して断られ、県内で2カ所の3次医療機関にも応じてもらえなかった。
松尾課長は、唐津市内で救急患者の受け入れ先が決まらず、さらに数カ所の病院に要請することは1カ月に数回あるとしたうえで、今回受け入れ先が見つかるまで16カ所電話をかけたことについて「これまで16もかけたという記憶はない」とも話した。
16件の中には「初期救急医療機関」と位置付けられる在宅当番の一般開業医への依頼も含まれるが、今回はいずれも断られた。同市のある開業医は「人手不足や扱える医療分野の細分化で、受け入れ可能な開業医は少ない」と話す。
唐津市は2006年、医療サービス充実を目的に「地域医療課」を設け、奈良県で起きた妊婦搬送のたらい回し問題を受け、同課や市消防本部、医師会や救急病院が集まって昨年5月には意見交換会も開催。今月開いた2回目の会合では、今回の事案が取り上げられたが、根本的な対策はまだ打ち出せていない。
松尾課長は「消防ができるのは(必要がないのに救急車を呼ぶ)『安易な利用者』への対策ぐらいだ」と話し、同消防本部のある幹部は「救急患者を目の前にして、搬送先を探すプレッシャーはいつも大きい」と現場の苦悩を漏らした。
=2008/02/29付 西日本新聞朝刊=
県内では、24時間体制で急患に対応する2、3次医療機関が計77カ所ある。今回、救急隊は1月4日未明、同市内の6カ所の2次医療機関すべてに受け入れを要請して断られ、県内で2カ所の3次医療機関にも応じてもらえなかった。
松尾課長は、唐津市内で救急患者の受け入れ先が決まらず、さらに数カ所の病院に要請することは1カ月に数回あるとしたうえで、今回受け入れ先が見つかるまで16カ所電話をかけたことについて「これまで16もかけたという記憶はない」とも話した。
16件の中には「初期救急医療機関」と位置付けられる在宅当番の一般開業医への依頼も含まれるが、今回はいずれも断られた。同市のある開業医は「人手不足や扱える医療分野の細分化で、受け入れ可能な開業医は少ない」と話す。
唐津市は2006年、医療サービス充実を目的に「地域医療課」を設け、奈良県で起きた妊婦搬送のたらい回し問題を受け、同課や市消防本部、医師会や救急病院が集まって昨年5月には意見交換会も開催。今月開いた2回目の会合では、今回の事案が取り上げられたが、根本的な対策はまだ打ち出せていない。
松尾課長は「消防ができるのは(必要がないのに救急車を呼ぶ)『安易な利用者』への対策ぐらいだ」と話し、同消防本部のある幹部は「救急患者を目の前にして、搬送先を探すプレッシャーはいつも大きい」と現場の苦悩を漏らした。
=2008/02/29付 西日本新聞朝刊=