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昨日は、衆議院安保委員会で石破大臣が宙を見上げていた。あたごの衝突事故以後に、防衛省と自衛隊が秘密裏に行っていたことが次々と明らかになってきたからだ。その隣の委員会室が法務委員会だった。福田内閣でもっとも「問題発言」の多い鳩山大臣に対して質問に立った。「友達の友達はアルカイダ」の頃から不思議に思っていた「脱線トーク」があった。「環境省が昆虫採集を禁止したら、ブラックバスを各県に放つ会をつくってやろうと思っている」という3年前の発言が気になっていた。いったい何が言いたかったのか。
○保坂 鳩山大臣、冒頭、予告していないことなんですが、ちょっと記憶をたどってみていただきたいんです。三年前に立教大学で、『つくろう、ブラックバス駆除ネットワーク』という集会があって、そこで鳩山大臣は、当時、「自民党自然との共生会議議長」という立場で、当時の環境省が昆虫採集を禁止しようとしているということに反対という立場で、「もし昆虫採集を禁止されたら、私はブラックバスを各県に放つ会をつくってやろうと思っています」。こうあいさつされているという記録が、釣りの雑誌ですかね、載っておるんですが、これは本当ですか。
○鳩山大臣 要するに、私は、あのころブラックバスが、バスフィッシングとして産業として成り立っていることは別ですが、日本の水の生態系をめちゃくちゃにしている、ブルーギルもそうかもしれませんが、オオクチバス、コクチバス、両方基本的には同じではないだろうかと。したがって、ブラックバスをどこかの湖に限定して、そこで釣りをさせたらどうかという考え方もあったし、あるいは、琵琶湖のように、あそこのイサザという最高においしい魚がブラックバスのために全滅しかけているというようなことで、我が自民党の中も半々に割れるような事態で、ブラックバスを追放するのはどうかというような話が随分あったわけです。
実は、私は全く冗談で言った話で、環境省はそれをやっているわけですが、環境省が、国立公園の中の特別保護地域と保護地域かなんかで、多分種を指定して昆虫を採集禁止するという、これは法律上の措置をやろうとしておったわけで、これは本当に絶滅しそうなものであるなら別だけれども、やみくもに指定して、要するに昆虫採集というのは子供たちが自然と触れ合う最高の機会なんだけれども、そういう教育機会を奪うようなことをやったらもう環境省の味方はしないぞみたいなことで、冗談で言った話でございます。
[引用終わり]
「ベルトコンベア・乱数表」発言、「友達の友達はアルカイダ」発言、「志布志事件は冤罪とは呼べない」発言と続けて見ると、鳩山大臣の「問題発言」には共通点がある。「死刑執行推進」「外国人入国時の『生体情報』取得開始」「法務・検察の絶対的正義(間違いを認めない体質」という法務省の掲げる旗印をアピールするためのリップサービスだったことが分かってくる。面白い例え話を考えようと努力するのかもしれないが、「発言」がどのような社会的効果をもたらすのかに思いをめぐらすという思考回路が欠如している。
ただし、今回の「志布志事件」発言は鳩山大臣のひとり舞台ではない。かくなる発言を準備し、また吹聴していた法務・検察の幹部がいたことを私は法務委員会で指摘した。昨日の委員会のやりとりをやや長くなるが掲載しておきたい。
[2月26日衆議院法務委員会]
○保坂 (鳩山大臣が)自民党県連大会でおっしゃった話ですね。例えば、真犯人が後にあらわれた場合を冤罪と言い、裁判による無罪は冤罪とは言わないのが法務・検察の基本的な考え方だと。
(後ろから若手法務官僚が答弁書を差し出す。失言のないように万全のガードだ)
これは大臣に聞いているので、ちょっと後ろの方、余りちょこちょこやらないで。これは重要なんですよ。後ろの方が答弁を出すような質問じゃないんです。これは、冤罪という言葉を使うなというアドバイスを大臣は受けていたとおっしゃいましたよね、先ほどの質疑で。冤罪という言葉を余り使うなというアドバイスを受けていたとおっしゃいましたよね。これはだれから受けていたんですか。法務省ですか。どの担当官から言われていたんですか。
○鳩山大臣 それは多分、私が法務大臣になって何度も衆議院や参議院の法務委員会で答弁をしておるわけで、志布志、氷見あるいはほかの事件かもしれませんが、御質問の方に冤罪という文字が入っている場合に、冤罪というのは定義がない言葉ですから、大臣としては冤罪という言葉をお使いにならないで答弁される方がよろしいのではないでしょうかと。
それは若い人だったか、はげた人だったかよく覚えておりません。とにかく、みんなで打ち合わせするときにそういう話が出たのははっきり記憶にあります。
○保坂 例えば、参議院の法務委員会で、昨年の十月に千葉景子議員の質問に対しても鳩山大臣は、「冤罪というものは。しかも、服役までさせてしまってから真犯人が現れるということでありますから、」こういう趣旨で述べられていますね。
これは刑事局長に伺いますが、答弁書はだれが書いたんですか。つまり、答弁書を起草して、刑事局長まで決裁して、それで大臣に、今持たれていますよね、こういうふうに持っていただくという手続を経たものですか。それとも、鳩山大臣がとっさに思いついて言ったものなんですか。今度は局長。
○大野刑事局長 個別具体的な答弁案につきましては確認しないまま申し上げるわけにまいりませんけれども、一般的に申しますと、刑事局の所管にかかわる答弁につきましては、私ども事務方で素案をつくりまして、担当者の方から大臣に御説明することがあるということでございます。
○保坂 福岡県連の大会で大臣が言われていること、これは法務・検察の見解なんだ、言われていることは本当ではないかというふうに思うんですね。つまり、今も答弁書を持っておられますけれども、その答弁書が上がってくるわけです、何回聞いても、この冤罪をめぐって、いわば冤罪の定義というのはないと。そしてまた別のところでは、「冤罪は法令用語ではないけれども、社会通念上はやはり有罪が確定してその後実際に真犯人があらわれて」というようなことを、法務省の刑事局長が答弁したりもしているんですね。
また何か出されましたね。(若手官僚の答弁書を牽制)
要するに、今大臣に聞いているのは、法務・検察の見解を言ったということなのか、鳩山大臣が思いつきで言ったのか、それははっきりさせてくださいよ。
○鳩山大臣:正直言って、法務・検察といいましても、検察庁の、それは最高検、検事総長を初めとする方々と日ごろ打ち合わせをするということはほとんどありません。私も訴訟を指揮するわけではありませんから、指揮権発動しませんから。ですから、基本的には検察庁から見えている充職検事たる法務省役人ということですね。そういう大勢の方たちと毎日、朝から晩までいろいろな打ち合わせをする中で、それは私自身が、先ほど申し上げた神崎先生がお使いになった有斐閣の用語集の中の、再審で助かる、有罪が再審で無罪になるのが冤罪というようなことは、どうしても私の頭にあった。
ただ、この間、予算委員会のときの先生にお話ししたように、氷見のように有罪確定、服役でなくても、完全な人違い、逮捕して、それが裁判中にあらわれてくれば、やはり同じようなケースになるのかなというようなことを、たしか予算委員会で先生に申し上げたことがあったような気がするんです。ですから、法務省の人は、これを冤罪と言い、これを冤罪でないということを私に図で示したような、そういうことはありまぁw�ん。冤罪という言葉は答弁等で一切使わないというのが本当は一番いいのではないでしょうかというアドバイスを何度も受けましたけれども、ただ、毎日の打ち合わせの中で、私の狭く冤罪を概念し過ぎた先ほどから申し上げている概念は、日ごろみんなと打ち合わせして、大体そんなに違わないなとは思っておりました。
○保坂 冤罪という言葉を使わないというのは間違った総括なんですよ。人権擁護のために、冤罪という言葉はどんどん使ってもらわなきゃ困るんですね、冤罪を生んではならないわけですから。判決が出ようが出まいが、誤認逮捕する、あるいは誤認逮捕じゃなくて、事件の構図も虚構だった、捏造だったとしたら、これはもう国家権力による犯罪というふうに言わざるを得ないですよね。だから、冤罪という言葉を使わないというところに大臣が今着地しているというのは非常に不可解なんです。
刑事局長にもう一度聞きますけれども、大臣は福岡県連の自民党の大会で、検察の方は謝るべきでないと思っただろうが、私は自分の気持ちでおわびした、こう言っているんですね。法務省刑事局長として、大臣が予算委員会で謝罪をした、あるいは今も、「としたら」というのをとって、志布志の人たちに迷惑をかけたということを謝罪されたことをどうとらえているんですか。同じ見解を持っているんだったら、法務省刑事局長としても同じように謝罪したらどうですか。どこが違うんですか。
○大野刑事局長 ただいまの委員の御指摘は法務大臣の御発言についてのことかと思いますけれども、検察当局はもとよりでありますが、法務当局におきましても、法務大臣の御発言につきまして意見を申し上げる立場にはないというように考えております。
○保坂 大臣は、やはり個別事件じゃなくて、検察全体を指揮する、そこには冤罪事件なんか生んじゃいけないわけです。きょう、二度と志布志のようなことをしちゃいかぬということで大臣が謝罪をしているわけですよ。しかし、法務省の方は涼しい顔をしている。これはおかしいと思いますね。
要するに根本は、志布志事件のような事件、これは完全に白だとおっしゃいましたけれども、本当にそうなんですか。検察の中に、あるいは法務省の中に、あれは冤罪じゃない、冤罪とは言うな、言うな、そういう空気があったとしたら、大臣がちゃんと指導しなきゃいけないじゃないですか。ちゃんと謝罪させるべきですよ、本当は。
○鳩山大臣 そういうことはないと思います。この志布志事件に対する真剣な反省というものは最高検自体もやっていることでございますし、私もそれは、余計なことを言ってしまいましたけれども、あの会同において、基本的に我々の真剣な反省というものが必要であるということを申し上げているので、もちろん一々個別の裁判の判決についてコメントしてはいけないのかもしれませんけれども、それは灰色でも何でもない、完全な白だと。ただ、どうしてこんな事件、結果を生んでしまったのかという反省をしておりますので、それは法務省もみんな基本的に真っ白と認識しているはずです。
○保坂 刑事局長、志布志事件は真っ白なんですか。真っ白であれば、これだけ長期拘禁をして、そして、それこそ田舎の中で非常に甚大な苦痛を与えたことに対して、この場で謝罪してください。
○大野刑事局長 志布志事件についてでありますけれども、無罪判決が一審で確定しております。その無罪判決の中では、四回あったとされる会合のうち、二回についてはアリバイが成立したと認められておりますし、また、四回の会合があったという点について、自白された被告人の方の自白も、これは信用できないとされているわけであります。
法務・検察当局は、この無罪判決を真摯に受けとめております。そして、最高検の報告書にもございますけれども、多くの点において反省しなければいけないというふうに明らかにしているわけでございます。
ただいま御指摘のありました拘禁の関係でありますけれども、これも最高検の報告書の中に記載がございます。確かに、この事件では、一番長い方で、たしか一年を超えるくらいの未決勾留があったわけでありますけれども、今後、こうした裁判に伴う勾留をなるべく短縮するための手だてとして、最高検の報告書の中では、公判前整理手続を活用して早期に争点を絞り、そして、その争点に合致した形での証拠調べを先に進めることによってこうした事態が起きることを可能な限り防いでいこう、こういう反省をしたところでございます。
(保坂「謝罪は」)ただいま申し上げたように、法務・検察当局としてはこの事件を大変重く受けとめて、これを繰り返さないようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
○保坂 ぎりぎりまで言うんだけれども、謝罪までは出ないんですよね。これはやはりおかしいでしょう、大臣。
○鳩山大臣 私は、ですから、先ほど河村たかし先生の質問で、これは冤罪か、こういう佐藤さんの件がありまして、それは冤罪かどうかということを積極的に自分で言うことはこれからしませんと申し上げました。ただ、私は頭の中で整理していたものを変更した。それは、志布志の方々に非常に不快な思いをさせてしまったということについて、率直におわびをいたしております。ですが、その根拠は、めちゃくちゃな取り調べがあって、結果として火のないところに煙が立ったのかはわかりませんけれども、めちゃくちゃな捜査とか取り調べというのは、やはりでっち上げを生むような恐ろしいことがあり得るとするならば、そういうふうに思ったればこそ、彼らが、我々は冤罪だったんだ、冤罪が晴れたんだという発言については、これを素直に、全面的に受けとめると申し上げているわけです。
したがって、刑事局長はいろいろまた立場もおありでしょうが、法務省のトップとして、そういう志布志のような、私は警察の分を物言うわけにはいきませんけれども、検察のやってきたこと、あるいは公判その他、そして出た結果等についていえば申しわけないことであった、こう率直に申し上げます。
(この記録は保坂展人事務所で作成した仮のものです。正式な会議録は後日、衆議院HPにアップされます)

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