現在位置:asahi.com>ニュース特集>イージス艦衝突> 記事 艦隊幹部も無断聴取 当日朝、ヘリで乗艦 衝突事故2008年02月28日22時05分 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故で、護衛艦隊幕僚長がヘリコプターであたごに乗艦し、乗組員から事情聴取したことについても、防衛省が海上保安庁に事前連絡していなかったことがわかった。同省は、乗組員からの電話での無断聴取を認めているほか、ヘリで航海長を聴取のために運ぶことも海保側に事前に伝わっていなかった疑いが浮上。さらに、艦内での聴取が無断だったことが新たに明らかになったことに、海保側は不快感を示している。また、大臣室での航海長の聴取が、石破防衛相の指示だったことも明らかになった。
防衛省によると、護衛艦隊幕僚長は19日午前8時2分、ヘリコプターで横須賀からあたごに向けて出発し、30分後に到着した。これとほぼ入れ違いの形で、あたごの航海長が聴取のため、ヘリで海幕に向かったのは、同日午前9時10分。午前10時ごろから海幕防衛部長らが聞き取りをした。 幕僚長は、あたご艦内で乗組員から事故状況を聞き取り。午後4時18分に東京・市谷の海上幕僚監部にファクスで「漁船を最初に確認したのは午前4時5分より前」との聴取結果を伝え、午後5時すぎ、あたごが海自横須賀基地に着いた際、下艦したという。海保によるあたごへの家宅捜索は、直後の午後5時50分ごろ始まった。 増田好平事務次官は、幕僚長による聴取を海保に事前連絡しなかったことについて、「捜査に協力するという観点でいえばそういうこと(事前連絡)をすべきだった」などと述べた。 これに対し、捜査にあたっている横須賀海上保安部の幹部の一人は、捜査への影響について「よいことではない」と語った。 ■大臣室での航海長聴取、防衛相が指示 石破防衛相は28日の参院外交防衛委員会で、イージス艦の事故当日、防衛省に呼び寄せたあたごの航海長から、海上幕僚監部とは別に大臣室で事情を聴いたのは、自らの指示によるものであることを明らかにした。石破氏は当初、聴取の事実を明らかにしていなかったが、「隠す意図は全くなかった」と釈明。航海長の呼び寄せは吉川栄治海上幕僚長の指示としたうえで、事前に「私に断るべきだった」と語った。 石破氏は航海長を呼び寄せ事情を聴いたこと自体「誤った判断ではない」との認識を示した。 海幕の聴取後、航海長を大臣室に呼び、増田好平事務次官らと改めて事情を聴いた経緯については「(航海長を)今呼んでいるという報告を正午前に受けた。航海長に私が話を聴く必要があると判断した」と説明した。 防衛省側は委員会で、航海長から聴取した内容は文書にまとめ、19日午後3時59分に、同省運用企画局長が海保の警備救難部管理課長あてにファクスで送ったことを明らかにし、議事録はないとした27日夜の増田次官の記者会見での発言を修正した。 一方、防衛省からの事前連絡が海保側で確認されていない問題で、石破氏は「『事前連絡した』という報告は信じている。虚偽には当たらない」と明言。ただ、「防衛省のしかるべき立場の人が、海保のしかるべき立場の人に説明すべきだった」と不備を認めた。 事前連絡については、増田次官が28日の記者会見で、電話をした横須賀地方総監部の防衛部第4幕僚室長が、電話連絡した旨を記載し、署名押印した書類を海保側に提出したことを明らかにした。 PR情報イージス艦衝突
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