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紙の色なぜ光で変化?


 本などを日光の当たるところにおいておくと、色が変わるのはなぜですか。同じことは蛍光灯でも起こりますか。

(大阪市 宮本晃希)

木の繊維物質が反応


 紙パルプ技術協会などに聞きました。紙にもいろいろな種類があり、新聞や雑誌に使っている紙は、日光や蛍光灯の光に当たると色が黄色くなりやすい紙です。この紙の原料となるパルプは、木をすりつぶして作ります。このとき、木の繊維に20〜30%の割合で含まれるリグニンという物質が残っています。リグニンは、光や紫外線、熱により、色がついた構造に変化しやすいという特徴があります。日光でも蛍光灯の光でも同じです。

 一方、ティッシュペーパーなどに使われる紙は新聞用紙などに比べ、色が変わりにくいのが特徴です。これらの紙に使うパルプは「化学パルプ」といい、製造時にリグニンを取り除いています。もっとも、パルプに含まれるヘミセルロースという物質は、リグニンほどではないものの、光などが当たれば変質して色が黄色くなります。この反応が起こりにくいので、変色するのに時間がかかるのです。

 和紙の場合はどうでしょうか。美濃和紙で有名な岐阜県の産業技術センター紙研究部に聞きました。和紙は洋紙に比べ、光にあたって黄色く変化することはあまりありません。もともと和紙を作る過程で、原料のコウゾやミツマタを煮ると、どす黒い色をしています。紙として使うためには漂白する必要があり、江戸時代などは天日にさらして脱色していました。このように、和紙ではもともと生成(きな)りの色のものが、日光により白くなる傾向があります。

2008年02月28日  読売新聞)
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