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救急搬送時、患者情報を病院に送信 吹田市で来月下旬にも実用化
救急車で患者を搬送する際に、患者のデータをインターネットを使って病院に送信するシステムが、来月下旬にも大阪府吹田市で実用化されることが28日、決まった。システムは同市にある国立循環器病センターが民間の会社と共同開発したもので今後、市内すべての救急車に搭載されるという。新システムにより患者の状態を瞬時に判断することが可能になり、救急搬送拒否の問題の改善にも効果が期待されている。
同センターとNTTコムウエアなどが1年がかりで開発。昨年12月に1カ月間の実用化試験を実施し、安全性に問題がなかったことから、この日、同センターの倫理委員会で承認された。吹田市内の6台の救急車に配備され、市内全域での利用が可能になるという。
新システムでは、救急車から携帯端末を使って患者の映像や心電図、血圧や心拍数などのデータを独立したネットワークに送信。将来的には、複数の病院や消防司令室で患者情報を共有することも可能だが、当初は吹田市と同センター内での運用になるという。
このシステムで、病院到着前に半数が亡くなるとされる心筋梗塞(こうそく)などの重症患者の早期対応も可能になるほか、患者の様子を画像で直接医師が見ることで病状の判断もでき、救急搬送の受け入れ拒否問題などへの対応にも役立つのではないかとされている。
吹田市消防本部の担当者は「従来、口頭で医師に容体を伝えていたが、どうしても医師でないとわからない部分がある」とし、「血圧や脈拍などの情報や画像での診断で、より的確な判断が得られる」。同センターの野々木宏緊急部長は「病院が少ない僻地(へきち)などでも適切な治療が可能になる」としている。