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【国際】

中国各地 農民が『土地所有権』宣言 強制収用反発、農地奪還へ

2008年2月28日 朝刊

 【北京=鈴木孝昌】中国各地で昨年十二月以降、開発のために農地を強制収用された農民らが「土地所有権」を宣言し、農地の奪還に立ち上がる事件が相次いでいる。社会主義の根幹でもある農地の集団所有制を破棄し、「私有化」を宣言した村もあり、当局は危機感を強めている。 

 宣言したのは、黒竜江省富錦市、陝西省の三門峡ダム建設地域、江蘇省宜興市、天津市武清区などの農民ら。いずれも昨年十二月、インターネット上に宣言を発表した。

 黒竜江省では、計十万ヘクタールの農地が国家建設などの名目で強制収用されたが、不当に安い補償金しか払われなかったとして、四万人の農民が土地所有権を宣言。村長を罷免し、土地を農民に平等に分配すると表明した。

 また「中国農村はいまだ集団経営には適していない」として、憲法が定める農地の集団所有制を放棄するとしている。

 当局は少なくとも黒竜江省で二人、陝西省で三人の農民指導者を拘束。国家政権転覆罪の適用も示唆している。これに対し天津では農民数百人が座り込みを続けている。指導者らの電話は不通となり、メディアの取材も制限されるなど、各地で緊張状態が続いている。

 

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