MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

五輪控え国際的不安“封印” ギョーザ事件

2008.2.28 20:48
このニュースのトピックス中国製ギョーザ中毒問題

 中国政府は当面、冷凍ギョーザ中毒事件の責任は中国側にはないとの主張を貫く方針を固めたもようだ。仮に中国側が「容疑者」を突き止めたとしても、早期に責任を認めることはなくなったといえる。これは事件が食品テロの可能性を示唆しており、北京五輪を控え、国際的な不安をかき立てかねないからだ。

 28日の記者会見で中国公安省高官は、メタミドホスが中国国内で混入された可能性は極めて低いと述べた。これは中国国家品質監督検疫総局が13日の記者会見で、河北省石家莊市の製造・輸送過程で混入された可能性を否定したのを補強するものだった。

 検疫総局の会見の時点では、公安当局の捜査は継続中だったが、中国側は日本側に共同捜査を提案した。混入現場は日本との前提で、「ほぼ中国国内」とする日本側の牽制(けんせい)に出たものであり、真相を「藪の中」にする方向がうかがえた。

 中国の食の安全は、海外だけでなく中国国内でも深刻な問題だ。しかし今回の問題は、中国側も「人為的」とし、通常の食品汚染とは異質の事件であることを認めている。その原因が中国国内となれば、中国食品の危険性が一段と高まり、国際信用にかかわってくる。

 問題のギョーザの製造工場は、地元でも屈指の優良国有企業という。中国では地元政府が地元の経済活動を擁護し、中央政府も介入には慎重なことが多い。中国側の捜査には「初めに結論ありき」との印象がぬぐえない。

 当局筋によると、中国政府内には、「日本説」は物証や状況から無理があると批判する声がある半面、日本人の「飽きっぽさ」を指摘、結論を急ぐ必要はないとの意見もあるという。既にワイドショーの関心は、イージス艦事故やロス事件に移っている、と。

 外交筋は胡錦濤国家主席の訪日前の決着を予測していたが、中国側は「捜査継続中」として結論を少なくとも五輪後に持ち越す公算が大きい。既に中国のメディアは「日本混入説」を打ち出し、ネットの掲示板では圧倒的多数が日本説をとっている。

 中国政府が仮に「容疑者」を摘発しても、そうした「世論」を覆す発表をするのは極めて困難になっている。(中国総局長 伊藤正)

 

 

広告
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。