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「AKB48」のポスター景品商法 ネットオークションが過熱

2008/2/27      このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ!   Yahoo!ブックマークに登録   コメント(17)  

   アイドルユニット「AKB48」のシングルCDを買ったらランダムにメンバーのソロポスターをプレゼントする、などとうたった景品商法がネットで論議を呼んでいる。「あざとい商法だ」と批判する声もある一方で、好きなメンバーのポスターを手に入れようと、早くもネットオークションが過熱している。

劇場でシングルを買えばソロポスターをプレゼントする

景品付きシングル販売を発表したAKB48の公式ブログ
景品付きシングル販売を発表したAKB48の公式ブログ

   AKB48(エーケービー・フォーティエイト)は、秋元康さんのプロデュースで2005年に結成され、メンバーは女性ばかり44人。東京・秋葉原にある「AKB48劇場」を拠点に活動しており、07年のNHK紅白歌合戦にも出場した。

   ネットで論議になっているのは、ニューシングル「桜の花びらたち2008」の販売方法を巡ってだ。それは、AKB48の公式ブログで2008年2月25日の日記に発表され、劇場でシングルを買えばソロポスターをプレゼントするものの、メンバーの指定はできないと限定されていた。とすると、好きなメンバーのポスターをゲットできる確率は、単純計算すれば、44分の1となる。シングルは3種類あるが、1人でほしいポスターを集めるなら、買ったシングルの多くを捨てるか、交換・売買しなければならなくなる。

   これがネットで論議になった。2ちゃんねるでは、「オリコンの順位ねらいが見え見え」「悪徳商法」などと批判の声も上がって騒然となっている。

   さらに、話題になっているのが、44枚をすべてそろえたファンには、AKB48のイベント「春の祭典」に招待するという触れ込みだ。2ちゃんでは、

「44枚買ってフルコンプする確立ってどれぐらい?w 1/77京1468兆8909億1789万4000」「トレード以外に絶対むりじゃねーかwwwwww」「あとでネットで取引すればいいや・・・っていうオタ思考を先読みしているのか」

などと疑問が噴出した。

   シングルは2月26日から劇場カフェで発売され、予想されたように、ネットオークションでは早くもポスター売買が始まった。ヤフーオークションでは、27日夕現在、「AKB48 ポスター」などと入れて検索すると、500件ほどヒットするほどになっている。1~2500円で売り出されているが、44枚フルセットの現在価格が4万4000円にも達していた。プレゼントには、メンバー直筆サインの入ったプレミアムポスターもあったため、例えばメンバーの川崎希さんの直筆ポスターは3万円などとなっていた。

「違法性を問うのは難しい」

   こうした景品商法は、法的な裏づけがあるのか。

   公正取引委員会の消費者取引課によると、AKB48のポスターやイベントの景品は、偶然の要素によってその内容が決まるため、景品表示法上、懸賞品に当たる。この場合、ポスターやイベントチケットに想定される代金が、シングル価格の20倍、景品全体では売り上げの2%を越えると、違法になるという。

   シングルは1250円のため、その20倍を越えるポスターは想像が難しい。また、イベント参加には、単純計算で5万5000円以上のシングル代がかかる。景品そのものには10万円という上限があるものの、違法性は問いにくいようだ。

   景品商法を巡っては、違法性が指摘されたことがあった。ペットボトル入りの清涼飲料水に人気アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクター模型がおまけに付けられたケースだ。射幸性のあるプレミア模型も混じっており、中が見えない袋に入っていたため、懸賞品とされた。しかし、150円のペットボトルに対し、景品が100円相当とみなされ、2%ルールを越えたため、公取が2005年9月末、景品表示法違反の疑いがあるとしてメーカー側を注意した。

   消費者法が専門の村千鶴子東京経済大教授も、「違法性を問うのは難しいと思う」との見方を示す。

「20年ほど前に、ビックリマンチョコでよく似たトラブルが起きました。ゴールドやシルバーのレアキャラのおまけシールがあって、子どもがチョコの箱を捨てて、シール集めに熱中するのが不謹慎と叩かれました。しかし、シールは安いので、公取が指導しただけで終わりました。今回のポスターやイベントも同様で、オークションでプレミアがつくかもしれませんが、景品の規制にはかからないでしょうね」

   ただ、村教授は、ネットで批判の声が高まっていることには理解を示した。

「今の景品表示法は、オールラウンドで役に立つ法律になっていません。だから、今回のようなユニークな商法を持ち出されると、消費者保護ができなくなるんです。私も確かにあざとい商法だなと感じており、現行法でよいのか再考しなければならない可能性が出てくると思います」

   J-CASTニュースでは2月27日、今回の景品付きシングル販売を手掛けているデフスターレコーズに取材を申し込んだ。しかし、担当者が会議中などの理由で、この日のうちに回答は来なかった。

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