現在位置:asahi.com>社会>事件・事故> 記事

中国公安省、日本で農薬混入示唆 「袋の外からも浸透」

2008年02月28日13時03分

 中国製の冷凍ギョーザ中毒事件で、捜査にあたっている中国の公安省と国家品質監督検査検疫総局は28日午前、北京市内で記者会見した。同省幹部は有機リン系農薬成分メタミドホスは包装の外側から染み込むという実験結果を公表。中国内で冷凍ギョーザにメタミドホスが混入した可能性は「極めて低い」と述べ、明言は避けたが、日本国内で混入したとの見方を強く示唆した。

写真

記者会見する中国公安省の余新民・刑事偵査局副局長(右)と国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠・副総局長=北京市内で

 日本側はメタミドホスが外部から浸透することはないとみており、両国当局の見解対立が表面化した形だ。1時間半に及ぶ記者会見は中国中央テレビが生中継。日中間で協力をうたっているものの、真相解明への取り組みは難航しそうだ。

 今回の事件で同省幹部が記者会見するのは初めて。同省刑事偵査局の余新民副局長は、冷凍ギョーザの製造元である河北省石家荘の天洋食品の従業員ら55人を調べたが、毒物混入の疑いは見つからなかったと述べた。

 公安省物証鑑定センターの王桂強副主任は、サンプル実験の結果、「完全に密封されたギョーザの袋の外側からでも、メタミドホスは内部に染み込む」との結論に達したと語った。

 日本の警察当局が日本国内での混入の可能性が低いと判断したことについて余氏は「時期尚早」であり、そうした見解をメディアに公表したことや、日本の警察当局に物証や鑑定結果を見たいと申し入れたが拒否されたことなどに対し「非常に遺憾」と述べ、日本側を批判した。

 また、同総局の魏伝忠副総局長は、今回の事件が残留農薬による問題ではなく人為的に引き起こされたものであるとの見解を改めて示した。

PR情報

このページのトップに戻る