企画特集:「竹島」
【グラフ 波頭を越えて】歴史に刻む竹島 漁の記憶
連載「波頭を越えて 竹島リポート」第1部(7〜11日付朝刊1面)では、わが国固有の領土、竹島で漁をしていた人々らの証言を中心に、竹島の歴史をたどった。今回は、島根県・隠岐で取材した彼らと、この島の人々らの竹島への思いを写真で紹介したい。(総合編集部 木村さやか、写真報道局 林俊志)
竹島で漁をした人で今、生きているのは2人。直接話を聞きたくて、寒波が押し寄せた昨年末、隠岐へ飛んだ。海で鍛えた2人は96歳と80歳という年齢にもかかわらず、驚くほど鮮明な記憶を、びっくりするほど大きな声で語ってくれた
韓国が実効支配し続けて半世紀。2人にはその現実が、今も信じ難いようだった。取材してわかったのは、それは竹島があまりに生活に密着した場所だったこと。「領土問題」という言葉にはそぐわない近さを感じた
「家を奪われたわけではない」と竹島の領土問題は時に軽んじられる。だが、すべてを投じて漁場を拓(ひら)いた先人がいて、命がけの漁をした人々がいて、今がある。それを思うと、机上の議論はあまりに薄っぺらい。
隠岐にはまだまだ竹島を語りつくせていない人々がいる。証言の文字化とは、歴史を刻むことだ。八幡昭三さん(78)が新聞広告の裏に書き連ねたメモの貴重さを考えたとき、記者の使命を感じずにはいられなかった。