宗教上の理由で輸血を拒否する「エホバの証人」の信者への治療指針を、日本輸血・細胞治療学会など関連5学会の合同委員会が28日公表した。患者が15歳未満の場合、両親が輸血を拒否しても、児童相談所への生命を危険にさらすという虐待通告などの手続きを経て輸血する。輸血後は、心理的葛藤(かっとう)が生じるとして、カウンセリングの重要性を強調した。
指針はこのほか18歳以上は本人の意思を尊重、15~17歳は本人または、親のいずれか一人でも希望すれば輸血するという対応を定めた。
大戸斉・委員会座長は「医師と患者のあつれきを可能な限り解消する方向性を示した。子供は社会で保護すべきだ」と説明した。
指針に対しエホバの証人は「年齢により、一律に輸血するのではなく、我々の考えを踏まえた治療をしてほしい。指針は法的拘束力がないので、医療機関に理解を求めたい」としている。【田中泰義】
毎日新聞 2008年2月28日 19時02分