▽町、公設民営で存続へ
島根県津和野町議会は臨時会最終日の二十七日、本会議で、経営難に陥っている津和野共存病院(津和野町森村)などの買収費約十三億円を盛り込んだ二〇〇七年度一般会計補正予算案を全会一致で可決した。手続きを経て正式に買収されれば、石西厚生農業協同組合連合会(厚生連)が運営している同病院は町立の自治体病院となる。
県医療対策課によると自治体病院は全国的に赤字経営が目立ち、総務省の指導の中には病院の民間移譲の方法も盛り込まれている。津和野町のように、経営再建のため逆に民間病院を公設化するのは珍しいという。町は運営は指定管理者制度を導入する方針で、公設民営となる。
この日、厚生連病院公設民営化調査特別委員会の藤井貴久男委員長が、十分な住民説明などを条件にして賛成する意見を報告。返済に有利な過疎債などを財源にした病院買収費十三億六百八十万円を盛り込んだ補正予算案について全十六議員が賛成した。
公設化後、当面の指定管理者には従来の厚生連が想定されている。厚生連の青木和憲会長は「血税が投入されており、今後の経営には厳しく臨む。単年度の赤字を出さないよう頑張りたい」と気を引き締めていた。
同病院は、現在診療所となった旧日原共存病院(同町枕瀬)とともに地域医療を支えてきたが、医師不足や診療報酬改定などで経営が悪化。機能移転などで打開を図ったものの改善しなかった。
議会は会期が三十一日間と異例の長さの臨時会で、特別委員会を六回開くなど審議してきた。中島巌町長は「地域医療の灯を消してはならない。病院の存続は事実上決まったが、今後は医師確保に努力したい」と説明している。(谷本和久)
【写真説明】津和野共存病院などの買収費を盛り込んだ一般会計補正予算案を、全会一致で可決する津和野町議会
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