■「人のフンドシでアクセス稼ぎ」との意見も
エントリ 『私はタイトルの「所有権」を主張しているのではない』では、先日起こった「タイトル流用事件」について問題提起した。
ちなみに私の仕事仲間の、あるプロの編集者は、今回の一件を見てこう語っていた。
向こうのブログが行っている行為は、他人が作った「おいしいタイトル」を自記事のタイトルとして剽窃し、その他人が作ったタイトルの「面白さ」によって自ブログへのアクセスを呼び込む狙いがあるんじゃないですか?
上記の意見は、「引用という行為には、セオリーとしてどんな編集作業が必要なのか?」を、プロの常識(表記法のセオリー)として知っている編集者の言葉だ。
私はそこまで勘ぐってはいないが、ただし現象面だけ見ればそう疑う人が出てきても仕方がないだろう。それだけ誤解を招く表記だということだ。
また、あちらのブログは記事 「当ブログにおけます記事の見出し問題について」の冒頭で、 「著作権法に抵触すると松岡が主張している」という事実に反する記述をしている(2008年2月28日・11:00現在)。
上記の記事だけ読んだ人は、当然、「松岡という人は『今回の件は著作権法に違反する』と主張しているのだな」と誤読するはずだ。当たり前である。
マスコミによる「報道被害」はよく問題になるが、上記の記事はそれとまったく同じことをしているのである。
私はこの事実に反する記述について削除依頼を出したが、依然としてまだ削除されていない(2008年2月28日・11:00現在)。こうしている瞬間にも、 「今回の件は著作権法に抵触すると松岡が主張している」というデマがネット上のあちこちに広がっているのだ。
■読者がリンクをクリックするとは限らない
さて今回の一件では、いろんなご意見をトラックバックでいただいた。そのうち2本の記事を以下に紹介させていただこうと思う。
例えばニュースサイトで紹介されている記事へのリンクの横には「(踊る肉とパイナップル)」というような感じで、情報元を書いてある場合が多い(中略)。
情報元として書かれているサイトの作者が紹介記事を書いている人のことなのか、ニュースサイト運営者がその記事を見つけたサイトなのか、情報元サイトを知っているならわかるだろうけど、ニュースサイト自体もリンク先もはじめて見る人がすんなり理解できるかどうかわからない(中略)。
検索から個別の記事にたどりついた人が元記事まで読んでくれるかどうかはわからない。
●Slow Jamz『ニュースサイトの運営方法についてちょっと書いておく』
今回のタイトル表記法では、読者がリンクをクリックしない限り、 そのタイトルが流用であることがわからないということだ。そして「読者がリンクをクリックするかどうか?」は、当然、読者まかせである。
そんな不確定要素に依拠した「不完全な表記である」というご意見だ。
■検索サイトでは同じタイトルが表示されてしまう
次のご意見は、検索サイトにおける問題点を指摘している。
まず今回一番の問題となっているのは見出しにリンクが張ってありそれが他サイトの記事である部分が明確でない点です(中略)。
Webリテラシーの低い人はまず見出し部分がリンクになっている事に気づかない可能性があります。
実際私はWeb業界で働いていますが、ブログを毎日書くとクリエイティブな思考が「クセ」になる - 踊る肉とパイナップルの本文を読むまでリンクになっている事に気がつきませんでした。
検索エンジンで同じタイトルが表示されてしまう:問題点その2(中略)
またyahoo!に至ってはオリジナルの記事よりも上位に言及先が来ています(中略)。
これはユーザー的にも分かりにくい現象です。これでは、オリジナルの記事を書いた人が不快に思ってしまっても仕方ないです。
●Caraldo.net『やっぱり記事のタイトルにはオリジナリティが必要だと思う』
私は前々回の記事で、誤解を招くケースを3件、具体的にあげた。だが上記の検索サイトの例のように、私があげた3件以外にも誤読されるケースはたくさんあるのだ。
しかもあちらのブログは 「著作権法に抵触すると松岡が主張している」とのデマを流すなどした上で、「ご迷惑をかけました」的なニュアンスの言葉もない。
「自分のまちがいは一切認めない」、「読者も含めて誰にも迷惑などかけてない」ということなのだろうか?
他人に対する思いやりや、誠意がまったく見られないのがとても残念だ。 |