税務署員を装い「税金を払い戻す」などとして銀行の現金自動出入機(ATM)に誘導し、口座に振り込ませてだまし取る「還付金詐欺」の被害がやまない。県警によると、昨年は県内で計2億円超の被害が確認され、今年1月も計約3600万円がだまし取られた。確定申告のシーズンを迎え、県警が注意を呼びかけている。
捜査2課の調べでは、昨年の還付金詐欺被害は151件(うち1件未遂)で計約2億1200万円。前年の8倍以上に増えた。うち75件は「税金を払い戻す」という手口の詐欺。ほかも社会保険料や公共料金などの払い戻しをかたっている。今年1月も24件で計3618万円の被害が確認され、うち10件が税金還付詐欺という。
中署によると、典型的な手口は、居住地近くの「税務署員」を名乗る電話があり、「所得税が余分に納められていることがわかりました。キャッシュカードがあればあなたの口座に振り込む還付手続きをします」と誘う。言われた通りに銀行のATMの前に行き、指定されたフリーダイヤルに携帯電話で電話すると、画面の操作を次々に指示され、知らないうちに自分の口座から逆に送金してしまうという。最大で545万円を送金した例もあるという。
被害者の8割近くが50歳以上で、ATMの操作に不慣れな人を狙っているとみられる。また、教えられる電話番号が携帯電話ではなく固定電話やフリーダイヤルのため、安易に信用してしまうらしい。犯行に使われる電話番号は、転送電話を間にいれることで追跡を難しくしている。
中署などによると、税務署が還付のためにATM操作を依頼することはない。犯人はグループとみられ、送金後は引き出し役がすぐに引き出してしまうという。県警は「おかしいと気づいたら、送金後でも口座凍結することで被害を防げる。被害届よりも口座凍結を優先するので、銀行か110番にすぐに通報を」と呼びかけている。