ソバの花言葉の一つに「喜びも悲しみも」というのがある。畑一面を白くして咲く花を見ると、過去の嫌なことも一切忘れてしまいそうになる そばの麺(めん)はそば粉だけで打つと、切れやすく煮くずれしやすい。そこで、たいてい小麦粉や山芋などをつなぎとして入れている。以前、輪島市門前町の親類宅で食べたそばは、つなぎのないぼろぼろとすぐ切れるものだったが、そばの香りは高く忘れられない味だ その門前町で、能登半島地震によって損壊した名物そば店が再建された。町の繁栄を目指すことが店主らの心の“つなぎ”となり再建の力となったのだろう。完成した店の壁には、總持寺のかつての威容を示す木版画を張り、総持寺通り再生への意気込みを示したという 本紙の報道によると店主は、人生における地震の意味について「まだ答えは見つからないが、最後によく頑張ってきたと振り返ることができたら」と言い声を詰まらせていた。そばとともに乗り越えてきた「喜びも悲しみも」よみがえったのだろう ソバにはもう一つ「あなたを救う」という花言葉もある。震災からの復興へ店主らの踏ん張りはこれからが本番だ。
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