京都の冬は底冷えがする。夏はとても蒸し暑い。「西の小京都」と呼ばれる津山市は、京都と同じ盆地のせいで気候がよく似ており、特に夏の蒸し暑さは本場以上かもしれない。
その津山市が今夏、ユニークな取り組みを展開する。地球温暖化対策として市役所の窓を朝顔などで覆い、冷房を控えて二酸化炭素(CO2)の削減につなげる。昔は各家庭で見られた植物を使った日よけである。
市庁舎は六階建てで、南側の窓辺にプランターを置いて育てる。一階はゴーヤ、二階から六階は朝顔、屋上にはサツマイモを植えて変化を持たせる。五月に準備をして、七月には緑いっぱいになる見込みという。想像しただけで楽しそうな景観になりそうだ。
窓や屋上の緑化により室温は約二度下がり、夏場の冷房用電力を10%ほど減らせると市は試算する。電力料金は七万円余りの節約になり、CO2は約九百リットルのガソリン燃焼時に排出される量が削減できる計算になる。
思惑通りにいくかどうか分からないが、温暖化対策は多角的なアプローチが欠かせない。どんなことでも、まず実践が大切だ。市は住民にも朝顔などの育て方を指導し、取り組みの広がりを期待する。
温暖化対策だけでなく、殺風景になりがちな窓辺や街並みに潤いを与える効果もあるだろう。「緑のカーテン」が随所に見られる小京都になってもらいたい。