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酒提供の店主「出さない勇気なかった」 埼玉の飲酒事故

2008年02月27日15時02分

 埼玉県熊谷市で乗用車と軽乗用車が正面衝突して2人が死亡した事故で、乗用車を運転していたトラック運転手(32)に事故前に酒を出した飲食店の男性経営者(44)が朝日新聞の取材に応じた。「車で来ていたと知っていたが、酒を出さない勇気がなかった」と後悔の念を口にした。県警は、運転手を危険運転致死傷容疑で逮捕する方針だが、経営者も道交法違反(酒類提供)容疑で調べる見通しだ。

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飲酒運転で軽乗用車に正面衝突した乗用車=18日、埼玉県熊谷市で

 店は熊谷市郊外の住宅が点在する田園地帯にある。店内にはカウンターと座敷席があり、昼時はトラック運転手で混雑するという。

 経営者によると、事故があった17日の正午から午後1時にかけ、乗用車を運転していた同市の運転手や重体となった同僚(45)、友人ら計7人が店に集まった。経営者は、この同僚と中学校の同級生だという。

 窓際の座敷席でビール、酎ハイなどをグラスで約30杯飲み、ラーメンやポテトフライ、野菜いためなどを食べた。先に1、2人が帰り、残りは午後6時ごろ店を出た。経営者は玄関まで見送ったという。営業時間は午後2時までだが、友人なので遅くまで開けていたという。

 「窓越しに乗用車が見えたので、車で来ていたのは知っていた」。運転手らは昨年夏ごろから、月に2、3度、店で酒を飲んだり食事をしたりした。車で来ることが多く、酔って帰る場合は代行運転を頼むか、酔いをさましていたという。

 しかし、運転手は事故のあった17日は代行運転を頼まなかった。経営者は「運転手は酔っていたが、他の6人はそれほどでもなかった。家も近いので大丈夫だと思った」という。

 運転手ら3人はその後、市内のパブに行き、泥酔していたため、入店を断られ、その直後、県道を100キロ以上で走行中に事故を起こした。軽乗用車の夫婦(ともに56)が死亡し、三男(21)が重体、長女(21)も重傷を負った。

 経営者は「心が痛い。お酒を出さなければ、自分が送っていけばと後悔する。一番の責任は自分にあるのではないか。お酒を頼まれて出さないという勇気がなかった」とうなだれた。

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