はじめに。
　日本の憲法は、国民の生存権を保障し、疾病・障害・老齢・失業などの困窮の原因となりうる状況に対して、国が社会保障（救済が必要な国民を補償するための制度）を実施することを義務づけています。
この家の疾病・負傷など医療に関わる保障を「医療保障」と言い、保険方式で保障する医療保険と国や地方自治体などの費用で保障する公費負担医療があります。
医療機関の窓口に保険証を提示すると、医療費の一部を支払うことで医療を受けられるのは、医療保険制度によるものです。

★医療保険とは
保険
一般に言えば、生命保険や自動車保険のように加入先の保険会社に日頃から掛け金（保険料）を積み立てておいて、事故が起こったときにその会社から事故によって生じた損害を補償してもらう制度のことです。

医療保険
医療保険とは、これと似た制度で、日頃から保険料を積み立てておいて、傷病などの保険事故が生じたときに加入している団体（保険者）から医療費給付を受けるもの。ただし、医療保険は国が行う社会保障の一つですから、財源や給付内容などはそれぞらの法律の定めに従い、加入者に対して平等に行われます。その為、自動車保険や生命保険などの企業利益を目的とした保険とは大きく異なります。

日本における医療保険のあゆみ

・大正１１年…健康保険法が施行される。
・明治４年…一部の労働者のみに適用された医療保険制度が施行される。
（その後、船員を対象とした船員保健法、日雇い労働者を対象とした日雇い労働者健康保険法、公務員などを対象とした各種共催組合法が施行される）
・昭和３６年…国民健康保険法の施行により、すべての国民が何らかの医療保険の適用を受けられるようになる。これを「国民皆保険制度」といい、これにより現在の医療保険制度の体制が整った。


医療保険の仕組み
　医療保険は各種の法律から成り立ち、それぞれの法律に基づいて医療給付が行われています。
ただし、給付範囲などについては健康保険法が中心となって、後から制定された各法も健康保険法に準じているので、どの法律でもほぼ同じ給付内容となっています。これら、各法による保険給付をまとめて「医療保険」と言います。