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【ゆうゆうLife】医療 看取る家族への支援策(中)精神科外来 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:病気・医療
精神科外来■遺族ケア「継続必要」
がんなどの闘病で、患者が死に直面する場合、家族の負担も大きくなります。また、患者が亡くなってからは、死別によるストレスがあるといいます。患者の家族をサポートする場所として、精神科の外来が注目されつつあります。(北村理)
「この子が私の泣くまねをするんです…」
1歳になる長男をあやしながら、東京都在住の山田裕美子さん(31)=仮名=はこう話す。山田さんは一昨年12月末、最愛の夫=当時(41)=をがんで亡くした。わずか8カ月の闘病生活。半月後、第1子を出産した。
母としての緊張感に、生きる意味を見いだそうとするが、妻としての後悔も度々、涙となって顔をのぞかせる。そんな姿が子供にも刻み込まれていることに、最近、気づいたのだ。
山田さんの脳裏に焼きついているのは、最後の2日間の夫の苦しむ姿。「その印象が強く、私たちが楽しかった思い出が頭に浮かんでこないのです」
症例が少ないがんで、先行きが示されないまま治療を受けた。がんはあっという間に転移し、「生きたい」と願い続けた夫は、子供の出産を目前に逝った。
そんな夫への思いは、家族や友人だからといって吐露できるわけではない。親しければ親しいほど、周囲は先行きを心配してくれる。取り繕ってはみるが、そのたびに、あるがままの自分は置き去りにされる気がする。今も、葛藤(かっとう)の日々が続く。