基地従業員の銃「廃止を」/県、危険性を指摘
日本人基地従業員による基地外での拳銃携帯について、仲田秀光観光商工部長は二十七日、県として「県民の生命と安全を守る立場を踏まえ、基地従業員の銃携帯は原則として廃止すべきだ」との考えを示した。県議会(仲里利信議長)二月定例会の一般質問で當間盛夫氏(維新の会)の質問に答えた。
仲田部長は、沖縄防衛局が海兵隊外交政策部長に即時中止を申し入れたことを説明しつつ、過去に基地従業員の拳銃所持に起因した事件・事故が発生しており、危険性は少なくない―として、基地従業員の銃携帯については「原則廃止」の立場を強調した。
また、駐留軍従業員の雇用形態について、「服務は日米両政府間で締結された基本労務契約等に基づいて運用されている。警備員の拳銃の携帯については、職務定義書の中で一定の勤務場所における小型武器の携行が指定されている」と説明した。
得津八郎県警本部長は、日本人警備員が基地間移動の際に銃を携帯しているとの相談が寄せられていたとし、「日本人警備員の民間地域での拳銃携行は日米地位協定に抵触するものと判断し、海兵隊憲兵隊に事実確認したところ、沖縄防衛局から(銃携帯の基地外移動を)行わないよう指導を受けたとの回答を得た」と説明した。
県警として沖縄防衛局に対し、「米軍施設外での日本人警備員の武器携行、使用は認められず、防衛局から米軍当局へ厳重指導するよう要請した」ことを明らかにした。
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「銃奪われたらどうする」/国内法無視住民怒り
【中部】「銃が奪われていたらどうする」「常識では考えられない」。米軍基地の日本人警備員約六十人が今月中旬、拳銃を携帯して本島中部の民間地を移動していたことが明らかになったことに、基地所在の首長や市民から驚きと怒りの声が上がった。一方、全駐労や識者は「腰に拳銃をつけたまま従業員を基地外に出すことは国内法無視」と厳しく指摘した。
キャンプ・コートニーがあるうるま市の知念恒男市長は「警備員はあくまで民間人。銃が奪われる事件や事故が発生したらどうなるのか。まったく無神経なこと」と強調した上で「米軍は職務規律をしっかり守ってほしい」と要望した。
「初耳だ。基地従業員は軍の施設外で拳銃を持ってはいけないんじゃないか」。同市天願区の仲宗根宏自治会長は驚きを隠さない。「警備員でも一般の基地従業員。拳銃を持って基地外に出ることは、銃が奪われたことを考えると危険だ」と語気を強めた。
キャンプ・マクトリアス近くの同市川崎自治会の国場長信会長も「怖いとしか言いようがない。法律を犯してまで、銃の携帯を命令する司令官の意図が分からない」と声を荒らげた。
北中城村の新垣邦男村長は「常識的には考えられない行為。民間人が事故に巻き込まれる可能性もあった」と批判。「相次ぐ米兵不祥事で県民がピリピリしている時期だけに、秩序を守ってほしい」と話した。
全駐労沖縄地区本部の與那覇栄蔵委員長は「腰に拳銃を付けたまま従業員を基地外に出すというのは国内法無視で、あってはならない」と指摘。以前から銃の携行自体の中止を要求しており、「雇用主である防衛局に強く抗議したい」と語った。
日米地位協定に詳しい新垣勉弁護士は「日本人警備員は基地を守る警護権があるが、基地外は含まれない。基地外への移動は地位協定上根拠がなく、銃刀法違反にあたる」と指摘。違法行為を命じた司令官について「本来は罰せられるべきだが、公務中の行為で一次裁判権は米側にある。うやむやになるのでは」と懸念を示した。
本間浩法政大学教授も「そもそも、基地内であっても、銃を持つ『警護』を日本人にさせることに無理がある。外務省が米軍の便宜に合わせて協定を歯止めなく拡大解釈してきたことの結果で、許されるべきものではない」と断じた。
沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「民間人がほとんど銃を持たない日本社会、地域住民に与える不安を考えていない」と指摘し、「日本の法も、日米地位協定も無視する米軍の規律の乱れをあらためて感じる。厳重に抗議していく」とした。