RSSフィードを検索エンジン対策に生かすポイントとは?
阿部樹(フィードフォース)
2008/02/27 06:00
前回書いた記事に、「RSSフィードの真価はSEO=検索エンジン対策=にある」というトラックバックをいただきました。
RSSがSEOにある程度の効果がありそうだという点は、折に議論のあるテーマですが、その効果範囲の明確なご説明がしにくいために前回の記事からはあえて省いていました。
しかし、せっかくの機会ですので現時点での私の理解を整理してみたいと思います。
RSSは、サイトの内外で検索エンジン最適化を促進
サイトを検索エンジンに最適化することを考える場合、現在では主にその要因を2つに分けて考えます。
ひとつめが、HTMLの書き方やサイト内のリンク構造などの「サイト内の要因」、ふたつめが、外部からどのようなリンクが張られているかという「サイト外の要因」です。
私は、RSSがSEOにもたらす効果は次のように整理できると考えています。
サイト内の要因に対する効果→検索エンジン上のインデックス状況の改善
- クロール頻度
- クロール網羅性
サイト外の要因に対する効果→バックリンク要因の改善
- 外部サービスでの読み込み
- インフルエンサーへの伝達
上記はRSSを配信することである程度自然に期待できる効果ですが、さらに意図的に使うことで効果を増幅できる側面もあります。
人為的に施策をとる際にRSSを用いる利点
- 更新され、適度に分散されるバックリンク
- 適切なキーワードでのアンカーテキスト
それぞれ詳しく見てみましょう。
サイト内の要因:高い頻度で、網羅的にインデックスされるように
冒頭で紹介したブログでは次のように、検索エンジンがRSSフィードをどのようにクロールしているかを紹介しています。
Yahooのロボットは必ず数時間おきにRSS/atomフィードを見に来る。googlebotも似たような感じだが新記事をアップした日は数分おきに見に来るという徹底ぶり。
実際に、RSSを配信しているウェブサーバのログを詳しく見てみると、検索エンジンのロボット(クローラーなどとも呼ばれます)が、RSSフィードに頻繁にアクセスしてきているのがわかると思います。
これにより、ウェブサイトの更新時に更新の内容を適切に検索エンジンに伝えることが可能になります。
◇◇◇
また、検索エンジンのロボットは、RSSをチェックするだけでなく、そこに含まれる記事のリンク先もきちんとチェックしています。
私たちは、RSSフィードの効果の分析を行う上でリンクがどのようにクリックされているかを日々解析していますが、実際のクリックの40%~70%程度が検索エンジンに代表されるロボットによるクリックとなっています(もちろんRSS配信の効果レポートとしてはこれを除外した数字を出します)。
このようにサイトでRSSを配信することで、検索エンジンに、高い頻度で、網羅的にサイト内を見てもらうことが可能になります。これらの効果はいわゆる「サイトマップ プロトコル」(Google Sitemapsなどの技術の総称)を使って得られる効果に近いものです。
こうした効果は、Googleであれば「ウェブマスターツール」、Yahoo!であれば「Yahoo! Site Explorer」など、検索エンジンによるインデックス状況を調査できるツールを使って把握することができます。
サイト外の要因:バックリンクの自然な増加を促進
RSSを配信するといくつかの理由でバックリンクの増加が期待できます。
ひとつめの理由は、RSSを配信するとそのサイトが、インターネット上の新しいサービスで取り上げられやすくなるからです。
最近では、アプリケーション開発のコストが大きく低下し、様々な新しいサービスが開発・公開されるようになっていますが、そうした新しいサービスでは、サイトの一部にニュースとしてRSSフィードを読み込むような機能も多く見られます(一番わかりやすいのは公開型のRSSリーダーのようなサービスですが、最近ではこれがそのまま検索エンジンに「リンク」と認識されるケースは減っているようです)。
実際には、例えば、特定のテーマのRSSだけを集めてお気に入りサイトを構築するというようなサービスなどがこれらのバックリンク増に貢献します。こうしたサービスにうまくRSSを使ってもらえる可能性は、RSSを配信していれば多少なりともありますが、配信していなければその可能性はゼロです。
バックリンクの増加が期待できるふたつめの理由は、いわゆる「インフルエンサー」に情報を届けることができ、インターネット上の口コミが起きやすくなるからです。
RSSを購読している人の割合は、ここ数年、数%から十数%くらいの間で徐々に上昇しているといった程度ですが、これらの人々が通常に比べて情報収集の意欲の高い人々であることは間違いありません。それらの人々のうちでも特に、ブログの書き手や、ソーシャルブックマークサービスの利用者に情報を届けてなんらかのアクション(記事として執筆してもらったり、クリップしてもらったり)をとってもらうことができれば、意味のある適切なバックリンクを獲得することができます。
サイトの内外問わず、人為的なリンク構築にも大きな効果
サイト内でもサイト外でも使える手法ですが、人為的なリンク構築にもRSSが利用されることが増えています。
人為的なリンク構築に用いる場合、プログラムでRSSフィードを読み込んでRSS内のリンクのリストを含むページを構築する、などの方法で利用します。
通常SEOを意識したリンクを作成する場合には、リンク文言やリンク先の管理が必要なため、常に更新したり適切な状態に保ったりするためには一定のコストがかかります。しかし、RSSを読み込んで表示するだけであれば容易に自動化することが可能です。
この方法で構築したリンクは、RSS内の記事の見出しがそのままリンク文言となることが通常であるため、アンカーテキストとリンク先ページのタイトルが自動的に一致するというメリットがあります。
また、これらのリンクはサイト内の個別ページへのリンクとなるため、トップページだけに被リンクが集中するのでなく、適切なタイトルごとに適切な個別ページへの被リンクが発生するというメリットも大きいでしょう。
この手法を用いる場合、技術的な注意事項がいくつかありますので、簡単にまとめておきます。
- Javascriptを用いたリンクリストは、検索エンジンのクローラーに認識されないため、この用途には使えない。
- 効果測定用のリダイレクトを使う場合、検索エンジンのクローラーに認識される方法を用いる。
- URLに付加するタイプの効果測定用パラメータは、検索エンジンのクローラーに別URLと認識されてしまうため、利用しない。
最近では自社で複数のサイトを運営して、そのサイトにRSSを使ったリンクを埋め込んで自動更新してしまうような方法が多くとられるようになっています(検索エンジン最適化全体に言えることですが、それ自体が自己目的化した過度な最適化は長期的には評価されなくなると思いますので、即効性のある手法と期待して乱用するのはお奨めできません)。
有益なコンテンツこそが最大の効果をもたらす--原則はどんなSEOも同じ
さて、私なりにRSSがSEOにもたらす効果について整理してみましたが、いかがだったでしょうか?
確実に期待される効果はあるものの、RSSを配信するだけでは、残念ながら順位向上に直結するとはいえません。ただし、配信しているRSSの利用者や利用サービスが増えれば増えるほど、サイト外からのバックリンクの要因を向上できる可能性が高くなることは間違いないので、できるだけ多くのユーザーにRSSを利用してもらえるように、次の事項に気をつけておくのがよいでしょう。
また、自社やパートナーが適切なサイトを保有している場合は、できる範囲で人為的なリンクを構築することも試す価値があるのではないでしょうか。
これ以外の論点などありましたら、ぜひトラックバックしてください!
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