2008年02月27日 マダム・ホー Madam Grace Ho(投資家/マダム・ホーのハピネス(R)バランス研究所代表)
社長が身を粉にして働くのが「美徳」なのは日本だけ
社長が働くほど
従業員が怠ける!?
社長やリーダーに対する期待に、日本と他の国々では違いがあるようです。日本では社長自ら敷地内の草むしりやトイレ掃除をするのが「美徳」として従業員の目にうつる場合があるようですが、私が知る限り世界のできる男や富める男達は草むしりやトイレ掃除はしないようです。
その背景には、従業員が社長に期待する行動は、自分達ができること(掃除や草むしり)ではなく、自分達ではとうていできない「社長としてすべきこと(経営)をする」ことだからです。
ある知人がアジアのリゾート地で支社長をしていた時の話です。彼は日本式に現地の従業員達に会社への愛社精神を教えようと、毎朝早く出勤して背中に竹かごを背負い、敷地内のゴミを拾って見せたそうです。熱帯の国で、社長が毎朝、汗だくになってゴミ拾いをする光景は、日本だと従業員の胸を打ち、全員が駆け寄ってきて「社長、私にもさせてください!」と、美しい愛社精神の輪が広がるはずです。
しかし、彼が赴任した熱帯の途上国では、想定外の展開になりました。
その朝も、日本人支社長の彼が汗だくになって敷地内のゴミを背中に背負った竹かごに入れていると、背後に人影を感じました。彼の脳裏には従業員達が駆け寄ってきて手に手をとる日本式のドラマチックな展開が「天然色総カラー」で映し出されていましたが、その涙をさそうシーンは無残にも次の言葉で打ち消されました。
「社長、あっちにもゴミがありますぜ」
このように、日本以外の国では、社長が朝早くから夜遅くまで、率先して身を粉にして働くと、かえって従業員の士気を下げてしまい、「社長がしてくれるから」となまけるようになります。
むしろ、社長はたまに顔を出すだけのほうが「いつ、社長が現れるかもしれない」と抜き打ちチェックをされるようで、手を抜かなくなります。もうひとつの理由は、「社長は自分を信頼して任せてくれている」と思い、かえって意欲が上がるのです。
こう考えると、先ほどの老子による一流のリーダーの意味がなんとなくわかってきたような感じがしました。社長やリーダーは一般従業員ができない経営、グローバル戦略、資金調達、人脈作りなど、会社の舵取りを期待されているのだと思います。もちろん、たまにはトイレ掃除をして意外性をみせるのもよいかもしれませんが……。
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- マダム・ホー Madam Grace Ho(投資家/マダム・ホーのハピネス(R)バランス研究所代表)
アメリカ在住の投資家。USC、UCLA両大学院卒業後、華僑富豪やユダヤ人大富豪から教わった中国古典と不動産投資により20代で最初の1億を作る。今では100の不動産を持つミリオネア。金融と医学専門A級通訳としても活躍し、世界の成功者と日々接している。講演活動や執筆活動を通じ「真の豊かさ」や「愛情と健康とお金のバランスがとれたライフスタイル」を提唱中。公式サイト www.madamho.com
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