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融資受けられず死にゆく韓国の新技術

 「技術も人を選ぶべきなんです」

 「大韓民国の未来を切り開く新技術」ともてはやされた中小企業が、わずか2カ月で倒産の危機を迎えた。

 京畿道華城市にあるパイプ製造業者のユチャン・ホームパイプは昨年末、産業資源部によって「2007年大韓民国10大新技術」企業に選ばれた。穴の開いた円形の鉄パイプを四角形や六角形、楕円(だえん)形などさまざまな形に加工する技術を世界で初めて開発し、建築やインテリア分野で画期的な発展を遂げてきたとの評価を受けた。

 しかし、ユチャン・ホームパイプは今年に入り事実上、工場の稼動をストップした。理由は、製品を生産するために機械や設備を修理しなければならないが、そのための資金が足りないというのだ。同社のチョ・ジョンギュ室長は「06年から技術保証基金に援助を依頼しているが、一切受け入れてもらえなかった。銀行などの金融機関からも融資を拒否される」と話す。

 このように大韓民国が誇る10大技術が冷遇されるのはなぜか。技術保証基金の華城技術評価センターの担当者は「建築業界に聞いてみたところ、実際にこの技術を使用している業者がほとんどなく、事業性を検証することができなかったため」という。また「融資を引き出すために、税金を滞納した会社所有者を隠ぺいし、全く関係ない人を社長の座に就かせた」と、企業の道徳性にも問題があったことを明らかにした。

 一方、産業資源部の担当事務官は「申請してきた企業を対象に審査するため、現実的に企業の経営状況や事業の将来性について細かく把握するのは難しい」と答えた。新技術を開発した会社、これを認めた政府、そしてこうした会社をはぐくむ責任のある金融機関のすべてから無視されるようになったことで、新技術が危機的状況に追いやられているのだ。

 ある中小企業の社長は「ようやくの思いで開発した技術さえもまともに生かすことができないのが、韓国の製造業の現実だ。これは、大学修学能力試験(修能、日本の大学入試センター試験に相当)で全国10位に入った学生が資金的な問題で大学に入学できないのを、周りの大人たちが見て見ぬふりしているのと同じだ」と話した。

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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