警備員、基地外で銃携帯/在沖米海兵隊
在沖米海兵隊基地を警備する日本人従業員が今月中旬、米軍司令官の命令で実弾を込めた拳銃を携帯したまま基地外に出ていたことが二十六日、分かった。二日間で延べ約六十人が車や徒歩で民間地を移動した。「携帯」は二日間だけで現在は行っていない。銃刀法違反の可能性が高く、外務省は同日の衆院安全保障委員会で「(米軍人と異なり)警備員が外で銃を携行することは禁じられている」と明言した。下地幹郎氏(無所属)への答弁。沖縄防衛局も中止を申し入れている。
海兵隊憲兵隊日本人警備大隊に所属する複数の従業員によると、米軍人である憲兵隊司令官が、今月十一日から基地外でも拳銃を携行することを大隊全体に文書で命じた。理由は明示されなかったという。
キャンプ瑞慶覧とコートニーの二カ所では、「飛び地」となっている施設のゲート警備に就くため、一度基地の外に出る必要がある。十一日と十二日の午前中に、延べ五十九人が腰に拳銃を携行したまま移動した。
国道58号や330号を移動。大半はワンボックスタイプの軍用車だったが、一部は歩いた。移動の最長距離は、うるま市のキャンプ・コートニーとマクトリアス間とみられ、直線でも一キロ以上にわたって市街地を通ったことになる。
従来、日本人従業員の拳銃は、米軍人である憲兵が拳銃を預かって運び、基地内に入ってから再び渡していた。海兵隊を除く他の三軍は、現在も同様な管理をしているという。防衛省によると、事実関係を確認した沖縄防衛局の労務管理官が二十三日、米側に直ちに中止するよう文書で要求。米側が「現在は実施していない」と答えたため、再発防止を申し入れた。
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従業員、違法と指摘/拒めば処罰
日本人の基地従業員が、米軍司令官の命令で基地外で拳銃を持つよう強いられていた。違法だと指摘しても受け入れられず、従わなければ処罰の対象になると伝えられたという。二十六日、取材に応じた複数の従業員は「職場は異常な状態だ」と訴えた。
従業員らによると、命令は実施の三日前に通知された。多くが「違法ではないか」と聞いたが、日本人幹部らは「日米間の取り決めが変わった」とだけ説明したという。
拳銃を携行しなかったり外部に知らせたりした場合、処罰の対象になるとの通知もあった。違法行為を強いられたことに、「幹部に違法性の認識はあったはずで、命令に従うしかない従業員へのパワーハラスメントだ」「指示した司令官や日本人幹部は責任を取ってほしい」と強調した。
十二日午後からは基地外で拳銃を携行していないが、中止ではなく「延期」との説明を受けたという。
基地のゲートを警備する日本人従業員の拳銃携行は、二〇〇一年の米同時多発テロ後に再開された。過去には拳銃奪取を狙った犯罪などもあり、基地内での携行にも不安を持つ従業員がいる。