千葉県・野島崎沖で起きた海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、海上幕僚監部が第3管区海上保安本部(横浜)の事情聴取前にあたごの航海長から事情を聴いた際、石破茂防衛相を含む防衛省・自衛隊首脳が大臣室で航海長から聴取を行っていたことが27日分かった。防衛省が海上から航海長をヘリコプター移送する事実を、海上保安庁側に告げていなかったことも明らかになった。
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防衛省は19日午前4時7分の事故発生を受け、航海長を省内にある海上幕僚監部に呼んで詳しく事情を聴くことを計画。神奈川県・横須賀基地からヘリを派遣し、同日午前10時から海幕で航海長から事情を聴いた。この航海長は事故直前に交代した当直士官だった。
関係者によると、海幕が航海長への事情聴取を行った際、これとは別に大臣室で、石破氏のほか、増田好平防衛事務次官、吉川栄治海上幕僚長、事故調査委員長を務める加藤保海上幕僚副長ら同省・自衛隊幹部も直接、航海長から事情を聴いていたという。
防衛省は航海長の搬送に関し「事前に海保の許可を得ていた」としているが、3管は同省側からの連絡が事情聴取の後だったと発表し、事実関係の説明に食い違いが生じていた。防衛省筋によると、海自横須賀基地が3管に対してあたごにヘリを派遣するとの連絡を行った際、けが人の搬送を理由にしたものの、航海長を防衛省に連れて行くことについては伏せていたという。
石破氏は27日午前の衆院予算委員会分科会で、海保側の事情聴取前に航海長から事情を聴いたことに関し「省として一刻も早く状況を把握し、対外的に説明をすることが必要だという行動だった。結果論となるが、海保の了解を得ず乗組員の聴取を行っていたことは内部的な調査であったとしても必ずしも適切ではなかった」と陳謝した。
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