県内の消防本部が2007年に行った重傷、重症以上の救急患者の搬送で、複数の医療機関から断られ、受け入れまでに3回以上照会した事例が計83件あったことが26日、県のまとめで分かった。全体の1・2%に当たる。消防庁は照会が11回以上の事例については理由を報告するよう求めているが、県内では対象はなかった。
県は「県内ではこれまでのところ、救急と医療の連携はうまくいっている」(消防課)としている。ただ、県内でも医師不足などから、救急医療現場の負担は増している−との指摘があり、検証が求められそうだ。
同課によると、県内14の消防本部・消防局が07年に行った重傷、重症以上の救急搬送は計1万438件。このうち、病院間の転院搬送や、受け入れ先が決まるまでの照会件数を集計していない2消防本部を除く7217件についてまとめた。
県内では、全体の94・8%に当たる6839件が1回目の照会で受け入れ先が決定。2回目で受け入れが決まったのは295件(4・1%)だった。
照会の回数が最も多かったのは長野市消防局のケースで9回。精神疾患の患者を搬送したが、休日で医師の不在などが重なり、最終的に東信の医療機関に搬送したという。
照会にかかった時間などを含む、現場での滞在時間は、全体の98・6%が「30分未満」だった。「30分以上1時間未満」は1・2%。「1時間以上」は14件(0・2%)あった。ただ、この中には、医師が現場で救命措置を行ったために時間がかかったケースも含まれている。
消防庁は1月、関西地方で救急搬送の患者の受け入れを医療機関が断る事例が相次いだことなどを受け、各都道府県に調査を要請していた。