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【福井】

じっくり会話、妊婦に安心感 助産師外来の県内先駆者に聞く

2008年2月27日

 産科医不足を解消するため、正常な妊婦の問診や保健指導を助産師が担う「助産師外来」の開設に向けた動きが県内でも広がりつつある。二〇〇五年にいち早く導入した県済生会病院の助産師外来の設立に尽力した主任助産師の三反崎(みたさき)宏美さん(38)に、メリットや思いを聞いた。 (谷悠己)

 「何かと悩みの多い妊婦にとって健診は一番の楽しみ。ゆっくりと話ができる環境をつくりたかった」。出産を経験し現在も双子を妊娠している三反崎さんは、開設の動機をこう語る。

 県内でも産科医不足は深刻だ。休止する郊外の産科が増えた影響で妊婦は都市部に集中。同院でも医師が一件の健診にかけられる時間は長くて十五分ほどだ。助産師が健診を担ってケアの質を高めるのと同時に多忙な医師の救済にもつながっている。

 同院の助産師外来は、二十週目以降の妊婦健診を助産師が医師と交互に行う。助産師は四十分から一時間かけて妊婦と向き合い、ときにはおなかにエコーを当てて胎児の動きを観察し続ける。「こんなに小さくても指をしゃぶっている、と涙を流す人もいます」(三反崎さん)。

 開設当初は妊婦だけでなく医師からも「料金を取る健診を助産師が担当するのは…」といぶかる声が根強かったが、認知度は徐々に上がり、〇六年は四百二十四件のお産に対して延べ百十人が助産師外来を利用した。

 三反崎さんは「少子化や晩婚化が進み一つ一つのお産の重要性が高まっている今、妊婦には多くの選択肢が必要。最終的には健診した助産師がお産も担う院内助産所を開ければいいが、現状では助産師も人材不足で難しい。行政のリードで県内の助産師確保や病院間の人的交流が進むことを願っている」と話す。

◆開設へ動き拡大

 国は二〇〇八年度予算案の新規事業で院内助産所や助産師外来の開設支援を盛り込んでいる。県は〇七年度から先駆けて助産師外来の開設を目指す病院の研修費を補助する事業を始め、効果が表れ始めている。

 昨年十月、県内五つの病院の医師と助産師が、地方都市における助産師外来と院内助産所の設置事例として岩手、宮城県の病院を視察した。ことし一月には助産師外来に定評のある杏林大付属病院(東京都)で講義と病院実習に参加し、六病院の延べ四十人が最先端の取り組みを学んだ。

 研修に医師と助産師を派遣した市立敦賀病院は「〇八年度中にも開設したい」と意欲を見せ、県立病院も早期の開設を目指し検討している。

 

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