大盛り北海道

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病は食から:ファイト・ケミカル=森下敬一氏 /北海道

 老化やがん・慢性病などは体内の活性酸素や酸化物質が原因と言われます。ビタミンCやE、そしてβ-カロチンなどがこれに対して抗酸化作用を発揮することもよく知られています。

 この抗酸化物質群は、植物とくに野菜・果物・豆類の色や香を構成する「ファイト・ケミカル=植物・化学物質(Ph・Cと略す)」で、既に数千種類数えられています。

 体内の代謝で発生する酸化物質のほか、体外から侵入する化学薬剤や公害物質によっても2次的に酸化物質が発生します。1次・2次的酸化物質によって病気が発症し老化も進みます。

 これを防止してくれる植物のPh・Cは(1)赤いカロチノイド系色系=グァバ、トマト、パパイア、グレープフルーツ(ピンク)(2)黄色いフラボノイド系色素=グレープフルーツ、バナナ、パイナップル(3)青いアントシアン系色素=ブルーベリー、ブドウ、サツマイモ……に大別できます。

 さて、中高年女性の関心事、骨粗鬆(そしょう)症対策には女性ホルモンのエストロゲンが必要です。エストロゲン作用のあるイソフラボンは大豆に多く含まれるPh・Cで、この仲間にはがん細胞の増殖を抑えるゲニステインもあります。

 最近話題のアンデスのマカはアブラナ科植物(キャベツ、ブロッコリー、カブなど)で、この種の植物が含むイソチオシアン酸にも抗がん作用があります。

 日本では今、がんとともに血管・心臓病にも関心が持たれています。その予防効果を持つPh・Cに赤ワインのポリフェノール、ニンニクやタマネギ中の硫黄化合物(硫化アリル)、胡麻(ごま)(セサミ)のリグナン類が挙げられます。リグナンはイソフラボン同様のファイト・エストロゲンで、抗酸化作用も強く、抗がん作用も認められます。

   ◇  

 本稿をもって小欄の扉を閉じることになりました。拙稿のために貴重な紙面を割いて頂いた毎日新聞社に深謝します。そして北海道の皆様、とくに小欄の愛読者の方々に“幸多かれ”と祈念致します。誠に有難うございました。<国際自然医学会会長、医学博士>

毎日新聞 2008年2月23日

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