福井県が25日発表した県内の非正規社員と企業を対象に初めて実施した「非正規社員の就業の実態、意識等調査」によると、「条件が合えば」を含め正社員化を望んでいる20代の非正規社員が65%に上っていることが分かった。一方、企業側は、正社員化への転換に踏み切れない要因として、人件費上昇や非正規社員の能力への懸念を挙げている。
2006年の県労働状況調査によると、県内の非正規労働者は8万5800人で全労働者の26・4%を占め、1997年を9・1ポイント上回った。今回の調査は非正規社員の職業観、企業の実態や採用方針を調査し、施策に反映しようと実施した。
調査は、非正規社員が156社の1200人を対象に行い547人から回答があった(回答率45・6%)。企業は県内1500社で780社が回答(同52・0%)。
「ぜひ正社員として働きたい」とする非正規社員は、全体の10・2%で「条件が合えば」を合わせると44・6%。年代別にみると、20代が全体平均を2割以上上回ったほか、30代も59・0%と半数以上が正社員化を望んでいる。就業経験については、20代の5割強に正社員の経験があり、辞めた理由は「労働条件への不満」が43・8%、次いで「職場の人間関係」「会社の将来性への不安」が27・1%だった。
男女別ではともに8割強が正社員の経験を持つが、女性は「出産・子育て」(32・8%)、「結婚」(31・5%)を理由に中途退職したケースが多く、正社員化を希望する人が46・0%、希望しないも41・1%と二極化している。
一方、企業が非正規社員を雇用する主な理由は、契約社員が「即戦力」、嘱託は「再雇用のため」とし、パートや派遣社員は「人件費の削減」「繁忙時・期への対応」。正社員化への障害要因は、「人件費の上昇」が51・3%、「採用したい非正規社員が見当たらない」40・2%などを挙げた。正社員と同じ仕事に従事している非正規社員は、医療・福祉が79・3%、金融・保険・不動産が64・3%と高かった。
調査結果を受け県は、正社員を希望する人を対象に、資格取得に必要な費用の一部を助成する「非正規社員教育訓練支援事業」を新年度に創設する。