医師不足が深刻になる中、東京都は2月26日までに、医師の確保に向けた施策の方向性などを示した「医師の確保に向けた提言」を発表した。疲弊する病院勤務医の勤務環境の改善など2008年度予算で喫緊に取り組む事業の概要のほか、医師の養成などを含めた国への要望も盛り込んでいる。
医師を中心とした医療従事者の確保対策について検討するため、都は07年6月に「東京都地域医療対策協議会」(会長:梶山純一福祉保健局技監)を設置した。医療関係団体や有識者など各分野の代表らと話し合いを進め、医師確保をめぐる問題を「“いま、ここにある危機”」と認識。その上で今回、「医師の確保に向けた提言」を取りまとめた。
提言では、都が医師確保のために取り組むべき事項を喫緊に取り組むべきものと中長期的に取り組むべきものに分類している。
喫緊に取り組むべきとしたのは、まず勤務医の勤務環境の改善。当直明けでも勤務を続ける激務の医師に交代制を導入していくことのほか、女性医師が子育てなどと勤務を両立できるよう雇用を分け合う「ワークシェアリング」を促進。書類作成などの事務作業の負担軽減や、院内助産所など施設の環境整備の必要性も明記している。
また、再就業研修や子育て支援の充実を図り、産科や小児科で比重が高まっている女性医師が再就業しやすい環境を整える。
これに加え、勤務医の過重業務の解決には病院以外での取り組みも必要として、診療所のかかりつけ医と病院による医療連携を推進。へき地勤務の医師については自治医科大学や都内大学病院へ派遣を要請することで医師を確保する。
さらに、都民への普及啓発の重要性にも言及。治療によって期待通りの結果を必ずしも得られるわけではないという医療の不確実性に対する都民の理解を促すとともに、医療の仕組みなども周知させ、患者と医師が円滑に治療に臨める体制を構築する。
これらについて都は、08年度の予算案にすでに反映しており、勤務医の勤務環境の改善を図る事業に関しては総額で7億6,325万円を計上した。
中長期的に取り組むべきものとしては、産科や小児科の専門医を養成する仕組みをつくることを挙げたほか、国が昨年5月に示した「緊急医師確保対策」に即して都内大学医学部における定員増を早急に検討する。自治医科大卒業医師の活躍の場を拡大することも盛り込んだ。
このほか、提言の中では国に向けた要望も実施。産科・小児科における医学教育や臨床研修の整備・充実を求めるとともに、臨時的な対応として医師国家試験の実施を現行の1回から2回に増やすべきとしている。
更新:2008/02/26 17:30 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。