東北農政局がコメの生産調整達成を呼び掛けるため東北6県用に作製したポスターに、県内の農家などから疑問の声が上がっている。ポスターには「米の作りすぎは、もったいない!」「過剰作付けは、資源のムダづかいです」の文字が岩木山と津軽地方の水田を背景に印刷されており、「津軽を狙い撃ちか」との憶測や「言葉に配慮を欠いている」との指摘もある。同局は予定通り3万枚を配布するとしているが、今後議論を呼びそうだ。
 ポスターは13日、同局が公表。東北地方は6県すべてで2007年産の生産目標数量を上回る過剰生産があり、本県の過剰作付面積は福島、秋田に次いで多かった。
 農水省はコメの需給安定のため過剰作付け解消を至上命題としており、同局は「過剰生産の主食用米から不足している麦、大豆への転作による水田の有効利用の必要性を訴えるため作製した」とし、津軽地方の水田風景を使用したことに関しては「稲の風景写真を選んだだけで他意はない」としている。
 しかし、西北五地方の自治体幹部は「過剰作付けが多い地域だから(写真が)掲載されたのかもしれない」と苦笑しながらも、「それにしても『もったいない』『資源のムダ』の表現は理解しがたい。コメ農家が目にしたら反発するのではないか。東北農政局に問い合わせたい」と話す。
 ポスターを見た平川市の兼業農家(55)は「田作りは環境保全にもつながっていると自負しながらも、拡大一途の生産調整に協力しているわれわれ農家の苦悩を国は分かっていないのではないか」と憤然とした様子だった。

【写真説明】東北農政局が作製した生産調整を呼び掛けるポスター