重症患者搬送で病院10回以上拒否71件──昨年の大阪府内

 
              
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重症患者搬送で病院10回以上拒否71件──昨年の大阪府内

2008/02/26配信
 大阪府内で昨年1年間、重症患者の救急搬送の際、病院に10回以上受け入れを断られたケースが71件あったことが25日、府消防防災課の調査で分かった。危篤でないのに搬送先が見つからず、救命センターにやむなく運び込まれる例も数多く報告されているが、一刻を争う重症患者の調査結果だけに、救急医療体制の崩壊を浮き彫りに。「ベッドが空いていない」などの理由で39回拒否された末、死亡したケースもあった。

 救急医療は3段階に分かれ、原則として「2次救急医療機関」(現在大阪府内に約270カ所)が入院を必要とする重症患者を、「3次救急医療機関(救命救急センター)」(同13カ所)が危篤患者を扱う。

 大阪市は今月中旬、「昨年1年間に20回以上拒否されたのは320件」とする調査結果を公表したが、軽症者を含めた数字。今回の府の調査は、初めて重症患者だけを対象とした。

 府によると、問題の71件のうち、「10─14回」の拒否が約7割の53件を占め、「15─19回」の拒否は12件で、「20回以上」が6件。大阪市の男性の場合、近隣の病院を含めて39回拒否された末、ようやく見つかった病院に到着後に死亡した。

 河南町でも21病院に拒否された男性が死亡した。同町を含む「南河内地域」(松原市、藤井寺市、富田林市など)では、10回以上の“たらい回し”が29件で、地域の重症患者の救急搬送の2.8%を占めるが、他の7地域(0─0.8%)に比べて突出。府医療対策課は「2次救急医療機関以上の大きな病院が少ないことが一因では」と分析する。

 重症患者の搬送で1回以上受け入れを拒否されたのは約3200件。拒否の理由(複数回答)で最も多かったのが「満床」(617件)で、「手術中か患者の対応中」(421件)、「処置が難しい」(362件)、「専門外」(175件)、「医師不在」(53件)の順。

 搬送先が見つからずに救急隊が現場で1時間以上の待機を余儀なくされたケースが35件に上り、うち4件が2時間以上だった。

 府は25日、軽症患者が“たらい回し”されたケースも公表。10回以上拒否され、救命救急センターに搬送された292件のうち、9割以上が直ちに生命の危機のない患者で、重症患者の受け入れ先を狭めていることが考えられるなど、問題の深刻さを改めて示した。
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